9月11日テロは
絶対に支持してはならない

東拘・戸平和夫

2001年 10月5日
通巻 1089号

 「人民新聞」1086号の巻頭の主張には驚いてしまいました。9月11日のテロは絶対に支持してはならないものです。いくら米国が世界を支配しそれに憎しみを持っていても、このような行動はいかなる意味でも正当化されないものです。
 第1に、このテロは一般市民を無差別に殺すことを目的としたものであり、そのターゲットにペンタゴンがあったとしても許されるのものではありません。米国人であれば殺してもかまわないというのは人種主義であり、実際には多くの別の国籍の人々が殺されています。これは人間観の問題です。
 第2に、このテロの目的の問題です。もしこのテロが米国に打撃を与えることを目的としていたとするなら、その結果は反対です。米国に反「テロ」を口実とした戦争を正当化させることになっただけでなく、イスラエルがパレスチナ民衆に対し反「テロ」の名でテロを行うことも正当化させる結果となっています。明らかにこのような挑発行為は米国を利することになっています。
 第3に、これをやった主体です。これは証拠が公開されていないので、断定はできませんが、その手口から言って、ウサマ・ビンラディンらの反動グループによるものと思われます。彼らは、一切民族や人民の大儀とは無関係な、米国によって育てられた反共反動のテロリストです。彼らの行為はパレスチナとも、イスラムとも全く関係のないものです。
 彼らはもともと、アフガニスタンでの反共反ソの戦争において、米国に支持されたアラブ人(中心はサウジアラビア)のグループであり、米国に訓練され、武器を与えられて成長してきたものです。また、アラブ内では、サウジアラビアやヨルダンなどの反動王政の後押しを受けて、シリアやアルジェリアなどの反帝民族主義政権に敵対し、またパレスチナ革命運動においては反革命として、特にPFLP・DFLPに敵対してきました。彼らが、米国とアラブ反動の支持を受けたものであったことは明らかです。
 そして、彼らがテロによって実行しようとしているのは、人々に宗教的戒律を強制することです。
 彼らは、スンニー派ワッハーブ派に属しており、シーア派の下層住民を基盤にしたヒズボラーとは全く異質なものです。ヒズボラーはその基盤を人民においているために無差別テロはしません。ヒズボラーは、彼らの以前にレバノン南部でパレスチナ革命運動がイスラエルへの無差別攻撃をすることで、政治的に孤立をし、かつ南部の住民からも見放されたことを教訓にしていました。
 そのため、軍事目標に攻撃を限定することで、反テロキャンペーンの口実を与えず、イスラエルを政治的に孤立させ、その結果、南部レバノンの解放に勝利したのです。
 そのとき、スンニー派の原理主義者たちは、酒屋やビデオ屋に爆弾をしかけているだけでした。このような人々をスンニー派の住民も支持しません。
 パレスチナにおいて、8月にPFLPが久々に原則的なゲリラ闘争を行いました。イスラエルはハマスの無差別テロよりも、この方を恐れていました。そのために報復としてPLO第二の組織であるPFLPのアブニアリ・ムスタファ議長をミサイルで暗殺したのです。
 以上のことから、私たちはこのようなテロに断固として反対しなければなりません。それと同じ立場で米国の報復という国家テロの行使を批判しなければなりません。そして、米国がこの「テロ」と民衆の解放闘争を一緒くたにして潰そうとしていることに反対しなければなりません。
 人民新聞が、私たちにその人民観を問う問題提起をしていただいて感謝していたのですが、今回のテロ支持は、それに疑問を抱かせることになるでしょう。
 私たちが目ざさなければならないのは、米国内の人民を含めた世界人民が米国の世界支配に対して共に闘うことです。米国市民への無差別テロはその道を閉ざすことになります。
 私たちも「テロリスト」と米国によって規定されていますが、軍事闘争においての人民性がなければ、敵を利することを教訓にしてきました。さらに今教訓にしているのは、どのような強力な武器や軍隊よりも、人民が一つの目標に結集した力の方が強いということです。そして、その武器を使い、兵士としている人々も、また人民の一部だからです。それらの人々と共に闘えるとき、何も恐れることはありません。
 テロに断固反対し、米国の報復に反対し、そのしり馬に乗って憲法に反して自衛隊を派遣しょうとする小泉政権に反対していきましょう。この立場こそ、パレスチナ民衆とも、アフガニスタン民衆とも、米国の民衆とも共に闘っていける道だと思います。

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