【辞任要求】

鈴木宗男衆議院議員と
平沼赳夫経済産業大臣兼衆議院議員の辞任を求める


衆議院議員 鈴木宗男様

経済産業大臣兼衆議院議員 平沼赳夫様

内閣総理大臣 小泉純一郎様

2001年 7月15日
通巻 1082号

 

アイヌ民族の自治区を取り戻す会 北川しま子
日本基督教団小樽望洋台教会 柴田作治郎
米空母に反対する市民の会  佐藤正人

 (1)
 新聞報道によると、7月2日に、鈴木宗男衆議院議員は、東京都内での外国特派員協会主催の講演の際、「(日本は)1国家1言語1民族と言っていいと思う。北海道にはアイヌ民族というのがおりまして、嫌がる人もおりますけれど、今は全く同化されております」と発言し、同じ日、平沼赳夫経済産業大臣兼衆議院議員は、札幌市内で開かれた中川義男参議院議員(自民党)の「政経セミナー」で、「(日本は)小さな国土に、1億2千6百万人のレベルの高い単一民族でぴちっと詰まっている」と発言したという。
 この発言は、アイヌ民族を民族と認めず、日本のアイヌモシリ侵略史を肯定し、今もなおアイヌ民族を日本から消し去ろうとするものである。


 (2)
 「明治維新」の翌年、1869年に、日本政府は、北方のアイヌモシリの一部を日本領土として「北海道」と名付け、1871年に南方の琉球王国を一方的に鹿児島県の管轄下にくみいれ、1872年に琉球国王を藩主として琉球藩を設置し、植民地とした。「北海道」は、国民国家日本の最初の植民地である。
 日本政府は、アイヌ民族の大地をすべて国有地とし、天皇一族、「華族」、政府高官、資本家、「士族」、「平民」に分配した。「屯田兵」を先兵としてアイヌモシリに侵入してくる大量の日本人「移民」によって、原始林は農地に変えられた。日本人は、アイヌ民族の生活と労働の場であった大地も川も山も海も奪い、自然を破壊した。「開拓」は、侵略であった。
 日本政府は、アイヌ民族に天皇制をおしつけアイヌ民族を天皇の「臣民」として日本戸籍に登録し、アイヌ民族に日本式の姓名を強要し、鮭漁も狩猟も禁止し、主要な食料であった鮭や鹿などをアイヌ民族から奪いつづけた。
 アマゾニアにヨーロッパから侵入した白人は、数世紀にわたり先住民族の生きてきた自然と大地を破壊・汚染してきた。20世紀初めから日本人「移民」もそれに加担してきた。アマゾニアの先住民族は、侵入者の持ち込む病原菌によって命を失い、人口が激減した。同じことを、日本人は、アイヌモシリで行ってきた。
 日本政府は、教育、軍事、政治…の場で、アイヌ民族に「同化」を強制してきた。「同化」とは、民族固有の文化、言語…を奪い、民族を絶滅させようとする暴力行為である。アイヌ民族は、日本政府の「同化」策動とたたかい続けてきた。


 (3)
 「明治維新」以後、アイヌモシリと琉球王国を植民地とし、その住民を日本国家の「臣民」に「同化」させようとしつつ国民国家を形成し、さらに台湾、朝鮮…を侵略して経済を発展させてきた日本は、20世紀末、1999年に、天皇讃歌を国歌に、侵略の旗「ヒノマル」を国旗とした。
 21世紀に入り、日本国民を侵略に統合する日本国家主義がさらに強化されつつある。このときに、鈴木宗男衆議院議員と平沼赳夫経済産業大臣兼衆議院議員があいついでアイヌ民族を消し去ろうとする発言をおこなったのは偶然ではない。
 7月2日の発言のあと、鈴木議員は7月3日に、笹村二郎北海道ウタリ協会理事長に電話で「アイヌの人たちを差別する意図は全くない」と説明し、平沼大臣兼議員は北海道ウタリ協会の質問状に対し7月12日付け文書で「アイヌの方々の誤解を生じたとすれば遺憾だが、アイヌの方々の民族としての誇りを傷つける意図はみじんもない」と回答したという。しかしこれらの言葉は、かれらが7月2日におこなったアイヌ民族抹殺発言を否定するものではない。
 鈴木議員は、7月2日の発言を取消し謝罪することなく「差別する意図は全くない」と弁解しているが、「北海道にはアイヌ民族というのがおりまして、嫌がる人もおりますけれど、今は全く同化されております」という発言は、「同化」を肯定する民族差別発言である。
 平沼大臣兼議員は、「小さな国土に、レベルの高い単一民族でぴちっと詰まっている」という発言を取消し謝罪することなく、「アイヌの方々の誤解」とか「アイヌの方々の民族としての誇り…」といっているが、「単一民族で詰まっている」という発言は誤解しようのない発言である。朝鮮植民地化以後、日本に強制連行され労働を強制させられた人やその子孫をふくむ多くの朝鮮民族が日本に住んでいる。日本の経済成長は多くのアジア・アラブ・アフリカ・アメリカの諸民族の民衆によって支えられてきた。「単一民族で詰まっている」という平沼大臣兼議員の発言は、アイヌ民族だけでなく、日本に住むすべての民族を無いものとする民族差別発言である。
 私たちは、このような発言を繰り返す者が国会議員や国務大臣であり続けることを許さない。私たちは、鈴木宗男衆議院議員と平沼赳夫経済産業大臣兼衆議院議員が発言を取消し、謝罪し、発言の責任をとって直ちに辞任することを求める。また、小泉純一郎総理大臣に、平沼赳夫国務大臣を直ちに罷免することを求める。


▼連絡先/佐藤正人・小樽市花園4―20―8/ 0134―22―3395

 

[ 「言わせて聞いて」トップへ | 「ムーブメント」トップへ ]

このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。