★管理職ユニオン・関西 事例レポート

団体交渉拒否の悪質経営者の
「逃げ得」を許さないたたかい!

管理職ユニオン・関西 書記長・仲村 実

2001年 2月5日
通巻 1067号

 大津地方裁判所は、昨年9月、滋賀県甲賀郡のT工業所に対し「被審人を過料100万円に処する」という判決を出した。
 この裁判は、大阪府地方労働委員会が大津地裁にT工業所社長を「労働組合法違反」で訴えた裁判である。
 判決後、組合から団交申し入れを会社に行い、初めての団交が昨年の11月に開催された。一昨年2月に相談にきた滋賀県のKさんの団交申し入れから実に1年8ヵ月が経過しての初団交であった。


■ 経過


  T工業所は、大手Sハウスの部品を製作する金属加工工場である。Kさんは、職場で金型イラスト・労資交渉「机たたいても手がいたむだけ」加工の業務をしていたが、一昨年1月半ば、突然、経験のないプレス加工の職場へ配置換えにされ、2月に入ったところで「あなたの仕事はない」と言われた。翌日から3日間休んで出勤したら「明日から来なくていい」、「(個人)受取でやるなら仕事は回してやる」と言われたという。
 組合と相談の結果、「退職勧奨、配置転換、給与問題」を議題とする団体交渉を申し入れることになった。この団交申し入れに対し会社は、団交申入書を1度封を切り、送り返してきた。その後2度の申入書は封も切らずに返送をしてきたのである。
 3月8日、組合は「団体交渉拒否」の不当労働行為を大阪府地労委に申し立てた。
 しかし、会社は地労委の調査や審問の呼び出しをも無視し続け、審問もわが組合だけという異例の状態で結審となったのである。
 一昨年5月28日、地労委は「すみやかに誠意を持って団交を行え」との命令を交付した。会社は、この命令書の受取も拒否し、地労委の職員が会社に訪ねていっても「社長はいません」というあくどい対応であった。 
 この経営者は、無視を続ければ組合も当事者K氏もあきらめると思ったらしい。K氏の話によると、過去、会社に文句をいった労働者が組合を作ったが無視し続け、その労働者に嫌がらせを重ね、あきらめ退職させてしまったことがあったという。

■ 裁判提訴

  T工業所社長に対し大阪地方労働委員会は、大津地裁に「労働組合法違反」とし「過料(罰金のこと)」の裁判を起こしたのである。訴えられた社長は相当慌てたらしく、弁護士に相談したのである。
 その社長の上申書・意見書には、「私どもにおいて無知であった為重大な失態があったことを知りました」とし、「地労委の命令は、公示送達であり、事実上知らなかった」、「管理職ユニオン・関西が労働組合であるとの認識はなかった」、「(組合が)抗議行動に来たとき、警察の出動を求め、刑事事件として捜査が開始されたので、今後はかかわりにならないほうがよいと誤解していた」と述べ、過料額を安くして下さいというふざけた内容だった。
 もちろんこの裁判に持ちこめたのは、「逃げ得は許さん」という組合の粘りの取り組みと、地労委の威信をかけた裁判提訴だった。
 地労委命令後、組合は返送が予想されたが、T工業所に対する「団交申入書」を出し、地労委に「労働委員会命令の不履行につき裁判所に対して通知を求める上申書」を出した。これを受けての地労委の訴訟であり、今回の判決であった。
 過料100万円は国に入るので、組合としても違法行為の責任をきっちりとさせ、K氏の問題解決の責任を取らせていく決意で、団体交渉に臨んだ。


■ 闘争本番


 組合の追及で、会社は謝罪し「不当労働行為」責任に対する支払いを表明した。Kさんに対しては、「解雇はしていない」と開き直っている。昨年12月の2回目団交は決裂した。1月2日の正月行動を滋賀県甲賀郡甲西町の社長宅に行った。
 これからがこの闘争の本番である。私たちは、こうした悪質な経営者の逃げ得を絶対許さない。


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