特別寄稿☆いいだ もも

1月31日、国会開会から
7月29日参議院選挙へ向けての私見

2001年 2月15-25日
通巻 1068-69号

<目次>
1 狼がやってくる、ご油断めさるな
大衆運動と選挙運動の結合を
歴史の進路を照らし出す「油」となれ

2 森喜朗「自公保」政権の打倒へ
「前門の狼」「後門の虎」
麻痺し始めた政・官・財、鉄の三角形

揺らぐ日米安保

アメリカニューエコノミーの動揺

21世紀型解放運動の再生を (ここまでが1068号掲載分)

 3 照屋寛徳(沖縄)、新垣重雄(東京)、小森龍邦(全国比例)の擁立・当選へ

小森たつくに勝手連の選挙政策(準備会のたたき台・要旨)(1069号)

 

1 狼がやってくる、ご油断めさるな


 「狼」は今度こそこの「日本という村」を確実に襲ってくる。「狼少年」であるわたしたちの警告の役目は、この新世紀・新ミレニアムの冒頭においてこそ決定的に重かつ大である。森喜朗「自公保」政権が「日本新生のための改革国会」と称する第151通常国会が、KSD政治献金疑惑・外務省機密費疑惑のなかで波瀾ぶくみで正月31日に発足した。
 この2001年の最冒頭においてこそ、「狼少年」は着実に(!)金切声の最初にして最後の大警告の声をあげなければならない。これまでの不実な冷え物つづきのナマスにすっかりこりてしまって、折角のアツアツのアツ物に口もつけない愚をおかしてはならない。アツアツのうちにグッと一気に飲みほす用意をしなければならない。おのおの方、ご油断めさるな!
 「21世紀最初の10年は、今後100年の大計を律する」という森首相の空疎な大見得演説の向こうを張って、あえて着実な大見得を切るならば、今度こそのアツ物にアツいうちに口をつける千載一遇のチャンスは、長丁場のグズグズ国会、それも驚くべき波乱がつぎつぎと続発するであろう「自公保」与党政権延命のための国会が、そのいっさいの政治的精気を使いはたして終わる直後の、7月参議院選挙の到来として必ずやってくる。来たるべき7月29日の投票日は、自民党支配延命のための「非拘束名簿制」なる変型小選挙区制の政治的詐術にもかかわらず、まさにそのインチキ選挙策謀のゆえにこそ、いわゆる一票一揆の恰好の政治的舞台となり、「自公保」与党連立政権=森・橋本・宮沢・河野政権の大瓦解、として、しかも鳩山民主党・小沢自由党・土井社民党・不破志位共産党の「野党連立内閣」構想(願望)の不発(予めの瓦解)という、『ガラガラポーン』政局の再燃による今秋政局の大流動・大激動の開始の合図にかならずや転化するであろう。

 

大衆運動と選挙運動の結合を

 

 わたしたちという「狼少年」は、「自公保」与党の延命のための思惑や「民自社共」野党の政権たらいまわしの願望やの議会主義的展望の次元において、そのような『予想屋』的見立てをするわけではない。新世紀初年度の前半政治過程における、反(ガイドライン)安保・反(沖縄名護)基地・反(次期防)自衛隊闘争、反失業・反ITリストラ合理化・反消費税(15%への引き上げ反対)闘争の2つの大きな流れの大衆運動的展開と選挙運動的展開の結合こそが、7月参議院選挙の結果そのものとその結果後の今秋政局の大流動・大激動とを招きよせ、たぐりよせる決定的カギである、新年度下半期の政治過程へ向けて千載一遇のチャンスをものにするカギである、とわたし自身が確信するがゆえである。このような深い政治経済的根拠に根差す、反安保・反基地・反自衛隊、反失業・反 リストラ合理化・反消費税の大衆運動的・選挙運動的全面展開をヌキにしては、議会主義的展望に専ら立脚する「護憲」も「政治転換」もありえない。
 注意を集中しなければならない特異な今日的要点は、今日の議会主義的与党(自公保)の延命のための政治的思惑や、同じく議会主義的野党(民自社共)の連立政権願望のための政治的思惑が、その思惑自体の錯覚的・錯誤的展開によって、大衆運動の2つの大きな流れを個々に多発・激発させ、1つの巨大な力へと大合流させてゆく客観的作用を演じざるをえない、ということがひとつ。さらに2つ目には、そのような相転移直前のフラクタルな複雑系の政治運動局面において、「反議会主義」の空文句を言い立てて7月参議院選挙から事実上召還して、超越界へ逃避をきめこみつづける宗派主義的諸グループ・諸分子は、その外在性のゆえに(それは自らの政治的無能力の自己証明・自己慰撫以外のなにものでもない)、今日のどん底的危機にあるといってよい主体的危機からの再生にとっての千載一遇の再出発チャンスを取り逃し、21世紀型新生・創発へと向かう左翼政治・革命政治の再建のための大衆的賦活の修羅場に立つことなく、戦後の55年体制の『鬼っ子』として「自公保」的与党・「民自社共」的野党とともに旧世紀・旧冷戦期の冷え物として歴史博物館(歴史の屑箱 )行きにポイ捨てされてしまう、ということである。

 

歴史の進路を照らし出す「油」となれ


 わたしたちが2001年の中仕切りにおいて遭遇しようとしている《戦後》から《戦後・後》への相転移の政治局面は、まさに今からでは半世紀余も以前になる8・15転換における《戦争と専制》から《平和と民主主義》への相転移の政治局面に匹敵するのであり、しかもアフター・フォーディズム、アフター・スターリニズムのグローバル・インターネット資本主義の危機局面への転化の開始として問われはじめている今日の相転移局面は、半世紀余以前の《戦争》から《戦後》への相転移局面よりもなおのこと深くして広大なのである。
 旧世紀=20世紀を領した《パクス・アメリカーナ》が巨視的にみれば没落期に足を踏み入れはじめたこの世紀転換期の現在、「IT革命」による「ニューエコノミー」の破綻のはじまりがドル本位制下のグローバル・インターネット資本主義を根底からゆさぶりはじめたこの世紀転換期の現在の世界史的特異性が、「世界の保安官」「世界の警察長官」として発足したブッシュ共和党政権下のUSAの安全保障政策・ドルIMF・WTO政策を、「日米安保」のグローバル・パートナーシップによって政治・軍事上も経済・金融上も支えつづけている「世界の副保安官」としての自民党政権下の「安保大国・多国籍企業大国」日本を、巨大な深部の力、プレートテクトニクス移動をともなう巨大な地殻構造の大変動(深層部からのマグマ噴出)となって直撃しようとしているのだ。おのおの方、ご油断あるな、歴史の油を断やすことなく自らこの大変動期へ入る歴史の進路を照らし出す「油」となって燃えようではないか!


 

森喜朗「自公保」政権の打倒へ

「前門の狼」「後門の虎」


 きわめて皮肉なことに、「21世紀の百年の大計」「日本新生のために」という格調高い(!)森首相施政方針演説で今回の国会が開会されたその前日に、そろいもそろって、総務省「統計調査報告」が現在の日本の完全失業率は過去最悪の4.7%、完全失業者は320万人。実収入はボーナスカット、家族のパート収入減で3年連続のマイナス、と発表され、厚生労働省「失業率試算報告」が昨年の「構造的、摩擦的失業率」が平均3.7%にのぼり過去最悪を記録したことを公けにし、金融庁「集計報告」が現在の都銀・地銀など全国136行が抱える不良債権残高の総額が63兆9350億円にのぼっていると公表し、財務省「中期展望」が2004年度予算中国債依存度は41.1%に上昇し、国債発行残高は483兆円に達するみこみであり、現行国債利率3.2%を1%上昇させただけで一挙に国債利子が2兆円以上増えて、国債費が23兆円台にふくらまざるをえない旨の試算をはじき出した。
 折柄、ワシントンでは米商務省(2000年度GDP報告」が、昨年第4半期のGDP(国内総生産)の伸び率が連続マイナス成長を記録して、5年半ぶりの低水準に落ちこみ、ここ10年近く続いてきた史上最長・最大の景気拡大が息切れし、ハイテク・IT革命による「ニューエコノミー」バブルがはじけはじめ、「株高」バブルの急落をまねきながら、アメリカ景気が減速・失速してきつつあることを、統計的に報じた。
 森「凡クラ」総理の「日本新生のための改革」によって21世紀を「希望の世紀」「人間の世紀」「信頼の世紀」「地球の世紀」とする旨の折角の格調高い国会冒頭施政方針演説があまりにも空疎に虚ろにひびき、識者からの失笑・憫笑を買うことになったのは、そのためである。
 ニューヨーク株安に連動した日本の株安・円安のなかで、森政権の経済・金融政策を司る宮沢財務相・麻生経済財政担当相・相沢(前金融再生委員会・現証券市場等活性化対策特別委員会)委員長らは、景気回復のためのゼネコン公共事業などへの財政出動対策(バラまき財政)から「構造改革と規制改革による新たな有効需要の創出」へと舵とりの修正をおこない、「金庫株の解禁」「確定拠出型年金401Kの早期導入」「株式の国家買い上げ機構案(98年の宮沢蔵相案)の復活」などの経済政策の特出をうちだしつつある。
 現在の株安・円安が亢進するならば、3月末に迫る銀行・生保の決算が不良債権含みの増大となってもたなくなり、そればかりか、景気低迷と国家財政破産のなかでむかえる7月参議院選挙そのものが完敗に終わらざるをえなくなるからである。あきらかにオール保守化支配と森「自公保」政権は延命しようとあがけばあがくほど、「前方の狼」である平成大不況の慢性的深化と「後門の虎」である赤字国債増発・財政破産の一層の深刻化との間に、完全に挟撃されて、死命を制せられつつあるのだ。

 

麻痺し始めた政・官・財、鉄の三角形

 

 KSD事件・外務省高官官房機密費事件・株価低落の「3点セットの逆風」が低空飛行中の森政権国会にもろに吹きつのってくるなかで、「参議院のドン」村上正邦前参議院議員会長の遁走、「第2次森内閣のプリンス」額賀福志郎前経済財政相の頓死によって、与党政権の国会運営は冒頭から「片肺」の超低空飛行をよぎなくされている。宮沢財務相・麻生経済財政担当相が主管する「経済財政諮問会議」は、右のような経済財政政策の緊急調整・軌道修正が必至とされている緊迫した情勢下であるにもかかわらず、全く機能するにいたっていない。なぜなら、省庁再編・行政改革の目玉であった「経済財政諮問会議」は、そのお膳立てを整えた堺屋太一前経済企画庁長官を大蔵省高級官僚群の捲きかえしの勢力にのって額賀新大臣が巧みに外してポイ捨てして、諮問会議の実権をまんまと掌握したのもつかのま、KSD汚職事件に連座してたちまち失脚をよぎなくされてしまったからである。企業・官僚大国日本の有名な癒着構造である「政・官・財の鉄の三角形」は、平成大不況の慢性化と国家財政の破産に挟撃されて、ゼネコン土建バラまき・地方補給金浸しの権力基盤の利益分配構造が麻痺しはじめているのと平行して、今日では政・官・財の「三すくみ」構造へと権力基盤の狭隘化(したがってまた内部権力抗争の激化、「汚職」の相互告発)へと転化しつつあるのである。
 社会的荒廃のなかで農村・都市を問わず蚕食・分解されつつある権力基盤の減衰によるガヴァナビリティー(統治能力)の弱化は、いかに非拘束名簿式小選挙区制等々のトリックによって10%前後の墜落危険水位に低落しつつある(ブルジョア国民国家としての正統性原理・正当化原理をも失いつつある)権力支配の実態の化粧直し・砂糖まぶしでこれを隠蔽しようとしても、とても蔽い隠しつづけることができるものではない。今日の政局は、そのような強引な策謀が一見罷り通るように見えるにもかかわらず、それがつぎつぎとボロを出し、支配のホコロビを露呈させざるをえない局面なのである。だからこそ、わたしたち主体の危機であるとともに、パワー・エリート自体にとってぬきさしならない権力再編が問われざるをえない支配の危機なのである。

揺らぐ日米安保

 

 森「超低空・延命」内閣の外交・東アジア政策の当面の前途についても、同様の引くも押すも困難なジレンマ状況を指摘することができる。パウエル米国務長官と初会合した河野洋平外相は、「今年はサンフランシスコ条約、日米安保条約の署名50周年という意味ある年」という位置づけによって「日米はアジア太平洋の礎」であるとガイドライン安保を再確認し、そのもとで「在沖米軍基地の存在はアジアの安定のために不可欠である」との意見一致に達し、普天間米軍基地返還とのバーターによる名護ハイテク・オスプレイ基地新設の促進を再方向づけた。橋本龍太郎行革・沖縄担当相は、現地へ飛んで杭式桟橋工法・ポンツーン工法・埋立工法の3方式による名護「移設」基地の着工の具体化を、稲嶺恵一沖縄県政・岸本建男名護市政の鎮撫・協力・結託(「格差是正」「北部開発」の名によるバラまき・買収によって)をとりつけながら、推進におおわらわである。
 しかしながら、ブッシュ共和党政権と森自民党政権が「グローバル・パートナーシップ」を以て新世紀初頭に展開する世界安全保障政策に基づく東アジア米軍兵力10万人前方展開核戦略ならびに米日ガイドライン安保同盟の前途もまた、彼ら支配パワーがドル本位制下のグローバル・エコノミーとして展開するドル・円世界政策の前途と同様に、もはや安定した坦々たるものではありえない。何よりもかによりもその東アジア前方展開体制の実効化にとって要の石である沖縄安保基地体系が、名護のハイテク・オスプレイ基地化に異議を申し立て、その着工を阻止しようとしている沖縄現地の反戦・反基地の自主・自治勢力によって現実的に制約され、ゆらいできているからである。
 現地名護における沖縄サミット以後の反ヘリポート基地協議会の運動再開と最近の沖縄県議会・那覇市議会における「米海兵隊削減」意見書の満場一致可決が、そのなによりの端緒的証明である。米海兵隊に配備されるハイテク新鋭機オスプレイの続発する事故(墜落死亡)とそれらの事故原因を隠蔽・捏造したレバーマン司令官の解任は、米紙ニューヨーク・タイムズによって「海兵隊のオスプレイ導入計画に痛手」と報じられているのである。

 

アメリカニューエコノミーの動揺

 ブッシュ=チェルニー=パウエル共和党新政権の発足は、かつての悪名高い湾岸戦争『3人男』体制のジュニア版である。クリントン=ゴア前民主党政権は、IT革命バブルと株高バブルの「ニューエコノミー」順調の追い風のなかにありながらも、ブッシュ共和党陣営に36日間開票騒動の末に苦敗を喫し、中東「パレスチナ・イスラエル」和平と朝鮮半島「南北」和平の東西どちらの花道をも飾ることがついにできないままに現代史からの退場をよぎなくされた。世界一の「貿易赤字・経済収支赤字」のドル帝国の『ニューエコノミー』が動揺しはじめているばかりではなく《パクス・アメリカーナ》世界体制が没落期へと踏みこんだこの世紀転換期において、東西二大焦点(中東・エルサレムと朝鮮半島・台湾海峡)の安保前方展開核世界戦略そのものが両立性の困難にしだいに追いつめられつつあるのだ。

 

21世紀型解放運動の再生を

 

 ジュニュア・ブッシュ・トリオ(3人男)体制の世界戦略再定義による、中国を「戦略的パートナー」ではなく「競争相手」とみなし、北朝鮮を「敵視」する反「太陽政策」的な米日韓一体化体制の再編をもくろみ、ロシア・中国を米核独占・一極覇権のためのTMD=NMD(ミサイル防衛)戦略構想の敵対対象と見立て、「テロリスト国家」(イラク、リビア、キューバ、朝鮮、イラン、アフガン、ユーゴ等々)を電子空爆対象とし、南北格差拡大の第三世界に対するハイテク・IT「低強度戦争」の適用対象とみなす「世界の警察長官」の安全保障政策・危機管理政策と軍事・外交行動は、それに追随し結託する「副保安官」の安保大国日本の軍事・外交政策もろとも、全世界的・国際的反撃の高まりに直面しぶつからざるをえなくなるであろう。
 とりわけ、最近のフィリピン(マニラ)における政変をかちとった市民を主役とした「ピープルズ・パワー」の再演、韓国(梅香里、ソウル、光州、釜山)における反基地闘争、労働争議の結集、ジャカルタ(インドネシアにおける反ワヒド・反汚職の学生・市民デモ・集会とアチェ等々の民族自立運動、台湾(台北・高尾)における反原発10万人集会デモ、スリランカにおけるJVP(人民解放戦線)の躍進、ネパールにおけるアジア共産主義者国際会議への結集等々は、21世紀の活舞台であるアジア太平洋地・海域における政治的前進が再開されはじめた兆候を力強く実感させつつある。事態の進展はこの本年の国際的政治過程において必ずや、多国籍金融独占資本と一極覇権アメリカのグローバリゼーション政策とそれに結託・追随する安保大国日本のパワー・エリート政策に対する抗議・抵抗・反対運動の旗印を鮮明にする域にまでいたるであろう。7月参院選挙による森喜朗「自公保」連立政権の瓦解は、ブッシュ共和党=森自民党の「グローバル・パートナーシップ」の資本攻勢と安全保障政策に対する反撃の有効な第一打として、それ自体でそれだけで大きな国際的意義がある。
 今日の2001年前半過程はその「ことのはじまり」の端緒である。反安保・反基地・反自衛隊、反失業・反ITリストラ合理化・反消費税の大衆運動と選挙戦の結合は、このような現代資本主義の権力的な世界・一国再編の支配動向そのものによって必然化せざるをえないのだ。沖縄現地においては、ヤマト・首都におけるそのような連帯運動の政治的前進と結びつくばかりでなく、韓国の梅香里運動、台湾の反原発運動、フィリピンのピープルズ・パワー等々とも結びつく、4月に予定される現地社会大衆党主催の「反基地国際会議」がそのような反転攻勢のチャンスをつかみとる契機となるかもしれない。7月参院選挙への中仕切りである4月には、経済・金融上も政治・軍事上もつのりくる資本攻勢と国家再編攻勢に対する民衆サイドからの反撃方向の形はもっとよく、さらに具体的に見えてくる。そこでまた政治討議を公共的・大衆的に深く掘り下げて、現地沖縄とヤマト、日本とアジア太平洋を連ねる二一世紀型解放運動再生をめざす政治・社会・文化運動の創発、創出の展望を一層具体化しようではないか。


(2001年1月31日)

 

 

照屋寛徳(沖縄)、新垣重雄(東京)

小森龍邦(全国比例)の擁立・当選へ

 

 大衆運動の再建の共有化を個々の「戦線」において広範に統一的に追求しながら、参院選挙戦の具体的形態においてはそれぞれの置かれている政治的事情のなかで具体的には多様であらざるをえないことになる。そのような多様な選挙政治経験を経て、今秋以降の下半期のガラガラポーン政局≠ノおける政治的主体の「再生」「統合」「結集」「創発」の形態追究もまた具体的に実効的な形を結晶することにもなるのだ。
 わたし個人としては七月参議院選挙については、「憲法みどり農の連帯」の共同代表の一人として、「連帯」の決議にしたがい、現参議院議員照屋寛徳を沖縄選挙区で、沖縄社会大衆党書記長新垣重雄を東京選挙区で、新社会党副委員長小森龍邦を全国比例登載として擁立・推薦し、その当選を期して選挙戦をたたかう。そのため、「小森たつくに勝手連」と準備会の旗上げを行い、東京地方区新垣重雄(沖縄社会大衆党・新社会党共同推薦)の選挙活動への参加ともども、すでに本年度前半期の選挙準備に突入している。
 以下は、その「勝手連準備会」へのたたき台として討議・執筆した「選挙政策案」である。広く討議・活用してほしい。(「小森たつくに勝手連」準備会/連絡先/〒164-0003 東京都中野区東中野 1-41-5 新日本文学会館2F /TEL 03-3361-7254 )

 

小森たつくに勝手連の選挙政策
(準備会のたたき台・要旨)

(2001年1月25日作成)

(A)

▼人権なくして平和なし。平和なくして人権なし。人権・平和・暮らしは三位一体。
▼多国籍資本と一極アメリカの世界制覇に反対する。アメリカ基準による地球征服・世界均一化に反対する。
▼21世紀の開幕に当たり、ブッシュ共和党=森自民党の超反動的な世界政策に反撃する第一打を。米日安保同盟の安全保障政策は、わたしたちの平和と安全を危うくする。米日両軸国家の危機管理政策は、わたしたちの生活危機を激しくする。
 出口なき平成大不況と赤字財政破産の森自公保政権は、直ちに退陣せよ。
▼ブッシュ政権の下、パクス・アメリカーナ(アメリカ本位の平和)は世界史的に没落期に入った。米日運命共同体は、日本にとって無理心中させられる破滅への道だ。米日安保同盟から軍事・政治上も、金融・経済上も離脱して、自立しよう。
 核も基地もない軍縮平和日本、アジアと共生する民主日本をめざして、新世紀を切り拓こう。森政権打倒で、大掃除と世直しにとりかかろう。
▼「資本主義のルール」の自由な貫徹が、世紀転換期の日本のこの惨状と行き詰まりをもたらしているのだ。「資本主義のルール」に対するきびしい規制と打破を。
▼根腐れの企業大国・官僚大国日本の根幹に、斧を入れよう。

 

(B)

 巷にあふれる失業者に仕事と失業補償を。IT リストラ合理化に反対する。労働時間の短縮による雇用創出・増員を。
 労働者の権利と雇用を守ろう。国鉄不当解雇者全員の復職と補償を。みんな仲間だ、働く仲間だ!
▼男女差別の構造的再拡大を許すな。日本の21世紀を女性の世紀に。
 不平等社会の弱肉強食・優勝劣敗・貧富2極化を、これ以上まかり通させるな。
▼倒産が続出し、失業が増え、差別と労働の不安定化が強まり、社会的不安・荒廃が広がる。不景気(生活不安)と赤字財政(増税)が、私たちの毎日の暮らしを挟撃してくる。私たちは真剣な防衛・反撃・抵抗の大衆行動に即刻立ち上がろう。

 

(C)

▼基地米軍への「思いやり予算」を全廃し、老人・子ども・弱者への介護・援助にまわせ。
 違憲戦力である自衛隊の「活用」に反対する。自衛隊の「次期防」の肥大化に反対し、治安出動演習に反対する。
 増大する一方の軍事予算を、福祉・介護・生活保護・医療・教育のためにまわせ。
▼消費税の一層の大幅値上げに反対する。納税者の権利と発言権を尊重せよ。
 安保軍拡費・大企業利潤を民生安定費にまわせ。
 税金のゼネコン用ばらまきをやめさせよう。
 銀行救済に公的資金をこれ以上使わせるな。

 

(D)

▼戦争・戦力放棄の憲法第9条を明文改憲する策動を粉砕しよう。
▼強権国家化の行政改革・教育改革に反対する。危機にある子どものため教育基本法を守り抜こう。少年少女は国家と資本に「奉仕」するべきではない。18歳に選挙権を。公務員にスト権を。
 差別・分断の根源=象徴天皇制を廃止しよう。
▼君が代は国歌ではない、日の丸は国旗ではない。
 戦争責任は水に流せない。先ずもって従軍慰安婦問題の責任者を厳正に処罰せよ。戦時凌辱された女性たちに遅まきながら謝罪・補償せよ。
▼民意を反映できない現行の選挙法を、有権者民主主義の基本に立って大改正する。形骸化し腐敗した議会制民主主義を根本的に立て直そう。
 地域主権を確立し、住民投票はじめ直接民主主義の諸形態を発展させよう。

 

(E)

▼沖縄名護のオスプレイ基地化阻止。アジア太平洋最大の核基地・ハイテク軍事基地である沖縄の米軍基地を撤去させよう。
▼多様・多元な諸々の価値・文化・宗教・民族・言語・習俗が共存・共生し、尊重され、祝福される社会へ。
 市民の基本的人権を第一義とし、市民生活のプライバシーを保障し、尊重する社会を。IT(情報通信技術)の双方向性を発展させ・情報公開を推進しよう。

 

(F)

▼日米ガイドライン安保・周辺事態法・有事法制の具体化の進行を許すな。有事体制化を職場・地域・自治体ではね返そう。
 アメリカの核独占・一極覇権のためのTMD=NMD(ミサイル防衛)戦略構想に協力加担するな。
 一日も早く安保条約の破棄を通告し、アメリカの東アジア10万人前方展開核戦略から離脱しよう。
 南北朝鮮の自主的・平和的統一に連帯を。中国の平和・友好・親善の発展を。
 アメリカとは非核化の相互尊重の平和友好条約を締結しよう。安保・軍事大国日本の国連常任理事国入りに反対する。
▼東アジア・太平洋の非核平和地域化条約の締結を推進しよう。
▼新世紀の中心舞台は、「和漢洋三国志」(日本・中国・米国の3大国の抗争・連結の三角関係)が演じられるアジア太平洋である。
 私たちのヤポネシアは、ユーラシア大陸の辺片であり、東南太平洋の島嶼に属している。そのような歴史的位置にふさわしく、私たちはアジア太平洋の共生に貢献してゆかなければならない。
 ドル本位変動相場制から一日も早く離脱して、ドル支えのアメリカ国債買い上げを止め、輸出代金をドル建てから円建てに切り換えよう。ブッシュ米政権の「強いドル」政策の追随をやめさせなければならない。
 円はアジア太平洋の地域通貨として活かしてゆこう。

(G)
▼森政権は地球温暖化防止条約の妨害をやめ、国際会議議長案で直ちに調印せよ。ダイオキシン・環境ホルモン汚染の防除。
 原発を全廃せよ。プルサーマル計画再開を即時中止させよう。脱原発。子々孫々に放射能のツケを残すな。
 大量の廃棄物・ゴミを減らそう、分別しよう、リサイクルしよう。
▼地球環境を破壊する乱開発・バブル成長・浪費文明を根底から方向転換させよう。生産力主義・科学技術迷信から脱皮しよう。
▼農林漁業基礎の地域循環系の再建にとりかかろう。食糧自給率を大幅に高めよう。
 地域主権の自治生活をめざそう。住民投票はじめ直接民主主義の権利行使を。
▼「IT革命」なるもの・金融ビッグバンなるもの、そんなものはネットバブル大崩壊を引き起こすだけだ。資本の危機が超加速させているテクノロジーの大暴走にブレーキをかけなければならない。
 クローン人間・臓器移植売買を法的に禁止させよう。遺伝子操作技術を社会的に厳しく規制しよう。

(H)
▼反安保・反基地・反戦争法・反失業・反差別・の諸大衆行動の展開なくして、「護憲」はない。「政治転換」もない。
 襲いかかってくる資本攻勢と国家再編攻撃に対して、抵抗し反撃する大衆運動を再建・強化して、腐臭を放つ断末魔の自民党支配に今度こそ止めを刺そう。
▼21世紀がやってきたというのに、自殺者激増・失業者増大・いじめ蔓延・老後不安―人間が危ない。人間尊厳を掲げて起ち上がろう。
 みどり激減・気候温暖化・水劣化・環境汚染―地球が危ない。自然尊重をかかげて起ち上がろう。
▼文明の危機はもはや先送りできない。
 新世紀のトビラを、小森たつくにの全国比例区50万票・当選で開け放とうではないか。一票一揆だ。
 自然尊重、人間尊厳の解放運動の21世紀的再生へ!

 


 

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