深刻・泥沼化する役人・政治家と業者の癒着・腐敗

全国自治体の公共事業、ほぼ全てが談合で

「市民の絆・大阪」が「入札問題勉強会」

2001年 2月25日
通巻 1069号

 大阪市議・府議に続いて芦屋市の天下り助役、果ては自民参院のボス村上まで逮捕・・・公共事業をめぐる汚職や腐敗は尽きることがない、どころか、出口の見えぬ不況下、業者の生き残りをかけた攻勢でますます泥沼・深刻化している。去る2月2日(金)、大阪府門真市で「市民の絆・大阪」主催の「入札問題勉強会」が行われた。公共事業に「つきもの」の「談合」の実態について、同学習会の丸尾まき氏(尼崎市議)と戸田ひさよし氏(門真市議)の報告から紹介する。(文責・編集部)

 

落札率90%以上の入札は談合と見るべき

 

 談合があったかどうかを判断する最適の目安は「落札率」。入札に当たり、行政はその工事の予定価格(上限)と最低制限価格(下限)を決めるが、落札率とは落札金額を予定価格で割った数字。
 公共事業をめぐる役人や議員の汚職で多いのが、「予定価格を業者に漏らした」というもの。業者サイドからすれば、利益を確保するには予定価格にできるだけ近い数字で落札するのが至上命題。賄賂攻勢で、なりふり構わず予定価格の情報を仕入れようとする、という次第。
 表題は市民オンブズマンの弁護士の見解なのだが、驚くべきことに、これからすれば全国の自治体の公共事業ほぼ全てが談合ということになる。「1998年4月〜8月に全国の自治体が実施した公共事業の平均落札率は95.4%」なのだから・・・。
 ちなみに、丸尾市議が調査した98年度の尼崎市の公共事業20件(予定価格1.5億円以上)の平均落札率は95.8%。「仮にこの20件が最低制限価格で落札された場合、約57億円、落札率が80%であれば36億円の節約」と丸尾市議。
 もう一つ、複数回入札が実施され、常に同業者が最低価格を提示している場合(尼崎市で26件中24件)、これも談合の証拠。

談合喫茶にゾロゾロと公共事業のウラオモテ


 以下は戸田市議の報告「接待・談合・手抜きの実行体験者は語る」から、談合の実態。
◇最近、大阪市で現金を渡してバレたけど、普通は現金は渡さない。指名メンバーは同ランクだから、金額の大小は関係なく、物件1件についての貸し借り。
◇役所の会議室で説明会が終わったら、みんなで喫茶店などの談合をいつも行う場所に行く。一番実力者が司会をする。希望者は挙手をするなり「お願いします」という。それをもとにトーナメントをし、決勝で勝った人がチャンピオン。2人ずつの組を作って、貸しがあるとかないとか。勝った者同士で同じことを繰り返す。折り合いがつかない場合はリーダーの人が決め、それでもだめな場合はくじ引き。
◇おいしい情報を知っている人は、業者からおいしいものをいただく。役所に対して「実力」がある議員は、そういうおいしい思いをいつもしている。
◇役人への盆暮れの付け届けとか御歳暮は当たり前。接待ゴルフ、接待旅行、キャバレーで飲ませるとかは、近隣では絶対にやらない。直接電話して「何時に待ってる」と言うだけで来てくれる。
・・・等々。

 

談合は政官含めた業界の体質

情報公開・市民の監視を!

 

 これだけ談合自体やそれにまつわる汚職が社会問題化しながら、いっこうになくならないのは何故か。それは、特に土建業界の場合、政治家や官僚も含めて談合が基本構造になっているからに他ならない。「民間の工事の場合、他社との叩き合いでほとんど赤字覚悟、資金繰りに役立つ程度。利益は公共事業で出すしかない」(あるゼネコン担当者)。これが上はゼネコンから下は曾々孫請けに至るまで貫かれ、業界全体が公共事業にたかり、それを分配することで成り立っているのだ。
 談合体質を突き崩すのは至難の業とは言え、できることから始めるしかない。一つは情報公開の徹底。例えば、座間市では、工事箇所の事前公表、設計金額の事後公表、登録業者のランク公表、入札会場公開などの措置の実施によって、落札率がそれまでの96.7%から82.6%と劇的に低下している。
 そこまでやっている自治体は全国でもまだまだごく少数に止まるが、自治体に情報公開を迫る意味も含めて戸田市議が提案するのは市民の監視。
 「自分の住んでいる市町村の入札状況を調べて、ドンドン公表する。情報を交換し合って、更には、落札業者の予想もしてみるとか、楽しみながら監視することも考えてみたらどうか」
 あなたも一度やってみませんか。
   〔市民の絆・大阪=TEL06-4252-6210

               FAX06-4252-6211〕

 

 

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