疑惑の巣窟−

JR高槻(大阪府高槻市)北地区再開発

ゼネコン・フジタ救済に

高槻市が税金21億円で尻拭い

市民グループが抗議・追及を開始

2001年 3月15日
通巻 1071号

 現在、全国各地で大型開発や都市再開発の破綻が問題になり、マスコミでも大きくとりあげられている。バブル期に立案され、バブル崩壊後も計画がそのまま進行、計画・工事が具体化した途端に破綻、というパターンだ。そして見過ごすことができないのは、多くの場合、破綻によって生じた債務が公費=市民の税金によって穴埋めされるということだ。本紙では以前から、その典型的な例としてJR高槻北地区再開発をめぐる前高槻市長・江村や摂津信用金庫理事長・大木、事業協力者・フジタの腐敗・汚職事件を追及してきたが、ここにきてまたまた高槻市が21億円もの税金を穴埋めに使うことが発覚、市民から抗議の声があげられている。 (編集部)

 

くるくる変わるキーテナント
誰が見ても計画は完全に破綻

 

 この事実は、再開発組合が大阪府に申請した事業計画変更によって明らかになったもので、内容は以下の通り。
◇商業棟
〔変更前〕
*地下3階、地上7階(高さ33m)=キーテナント「十字屋」買い取り。
*駐車場約400台、駐輪場約1600台=「日立ビルシステム」が買い取り。
〔変更後〕
*地下2階、地上4階(高さ24m)=「オリックス・リアルエステート」買い取り、「平和堂」に賃貸。
*駐車場約450台、駐輪場約1750台=高槻市が公的駐車場として買い取り。

◇住宅棟
〔変更前〕
*約300戸、地下3階、地上30階(高さ約95m)、駐車場約300台、駐輪場600台=「東洋不動産」買い取り。
〔変更後〕
*A棟約320戸・地上30階(高さ95m)、B棟約210戸・地上29階(高さ95m)、駐車場370台、駐輪場1110台=「近鉄不動産」買い取り。

 本紙はかねてからこの再開発を「砂上の楼閣」と呼んできたが、その根拠はここに至る経過を見れば一目瞭然。
*1994年、当初キーテナントに決まっていた大手衣料百貨店「丸井」が「消費不況」を理由に撤退を表明。再開発組合やフジタが必死に拝み倒して「十字屋」がキーテナントに。
*ところが99年12月、その「十字屋」が「景気後退・金融情勢の変化」を理由に撤退表明。98年4月に事業認可がおりたものの権利者の権利変換(買い取り交渉)が進まなかったことに加えての「十字屋」の撤退表明で、1年以上にわたり事業がストップ。
*事業の変更認可期限が今年の3月に迫り、切羽詰まった再開発組合・フジタが、商業棟駐車場を契約解除した「日立ビルシステム」の穴埋めに高槻市に「公的駐車場」として押しつけ、2月には「オリックス・リアルエステート」「平和堂」の内定をとりつけて未契約のまま駆け込み申請。

 

ひたすら食い逃げ謀るフジタ
ズルズル追従の市・再開発組合

 

 事業の目玉であるキーテナントが「平和堂」で3社目、撤退の理由となった「消費不況」「景気後退・金融情勢の変化」は言うまでもなく悪化の一途、加えて高槻近辺は郊外大型店の激烈な潰し合いで駅前商店街は衰退一途、再開発組合理事長・古川が大型店の出店規制の陳情に走り回っている・・・破綻確実、と言うより誰が見ても既に破綻している計画に高槻市は21億円もの税金を注ぎ込もうとしているのだ!
 さすがに、高槻市や当事者である再開発組合までもが、「この辺が潮時」というのが実際の本音だと言われている。今回の決定についても「最終決定ではない」(市長)と逃げ道を用意している高槻市は、「これ以上の尻拭いはしたくない」。計画が実現しても膨大な赤字を抱えることになる再開発組合は、「十字屋の違約金を権利者に分配してチャラにしたい」。
 これまで何回も指摘してきたが、にもかかわらずこれだけ惨憺たる計画がそれでもゴリ押しされている背景には、事業協力者であるゼネコン・フジタの、何が何でも430億円の公共事業が欲しい経営事情がある。銀行による借金棒引きでかろうじて息をつないでいるフジタは、借金棒引きの際に、進行中の事業の取捨選択を迫られ、その際に 高槻駅前再開発は「拾」に分類された。である以上、何が何でも建物をとにかく建ててしまうことがフジタにとって至上命題、その後がどうなろうと、フジタにとっては知ったことではないのだ。

 要するに、食い逃げをはかるフジタに、再開発組合や高槻市がこれまで共に計画を食い物にしてきたシガラミと後めたさから、ズルズル引きずられているというのが実態。しかも、それを公費で補おうというのだから、これはもう明らかに犯罪と言っていいだろう。
 高槻市が再開発地区の用地を実勢価格の倍額で買収した問題で住民訴訟を提訴するなど、再開発をめぐる疑惑の数々を追及してきた「不正をなくそう!市民連絡会」をはじめとする市民グループは、大阪府・高槻市に対して今回の計画変更に反対するよう申し入れると共に、高槻市選出の全府議・市議に対して公開質問状を提出、広く市民に抗議を呼びかけている。本紙も引き続き問題を追及していきたい。

 

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人民新聞社

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