本紙1070号で、尼崎市「行財政改善計画」の批判を展開したが、尼崎市議会は22日、予算特別委員会に続き、本会議でも全会一致で同予算案を否決した。本会議では予算特別委の委員長報告に続き、2議員が委員会採決に賛成する討論をし、「大規模事業の見直しが不十分」「市民と十分な議論をした上での合意が必要」などと訴えた。
予算案は、「行財政改善計画」を具体化。職員削減など組織の効率化を図る一方、福祉分野などで受益者負担を求め、01年度から3年間で計52億3800万円の削減を目指す内容。保育料値上げや下水道料金の減免見直しなど計6億7千万円の市民負担増を盛り込んでいた。
宮田良雄市長は「まちづくりと市民福祉の維持を図る上で、行財政改革は避けて通ることができないものと考えており、理解いただけなかったことは誠に残念」と話している。市は当面、最小限必要な経費を計上した暫定予算案を組んで対応する。月内に臨時議会を招集して審議を求め、「日程的に臨時会が招集できない場合は同予算案の専決処分も検討する」としている。
尼崎市議会は、保守系「新政会」・「公明党」・連合系「尼崎グリーンクラブ」が多数派与党会派としてある。今回の予算案否決は、6月の市議会議員選挙を目前に控え、まず公明党が賛成を渋り、他の与党会派がこれに追随した。共産党は、当初から「改善計画」白紙撤回を求め署名運動を展開し、市民運動も様々な形で反対を訴えていた。
8年前、尼崎市議会は市議による「カラ出張」がバレて、議会解散に追い込まれた経緯がある。与党議員には、あの時の「悪夢」が頭をよぎったのかも知れない。
全会一致による予算案否決は、尼崎市政はじまって以来の「事件」だが、本紙でも展開したとおり、「行財政改善計画」の中身からすれば、当然の結果。傍聴した市民も「市には厳しい財政状況への危機感が感じられず、自分たちが血を流そうという姿勢が感じられない。予算案否決は当然」と、否決した議会に拍手を送っている。
市は、暫定予算編成後、再度「改善計画」に沿った予算を提案する。「財政再建計画」は、全国の自治体で押し進められている。尼崎市の予算案の行方は、反撃のモデルとして今後もその展開を注視したい。
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