汚職・腐敗の巣窟と化した大阪府議会

2年で4人の議員が収賄で逮捕
いったいどうなっているのか!?

緊急インタビュー 社民党府議・小沢福子さん

2001年 4月15日
通巻 1074号

 4月19日、岡田進・自民党府議が公共事業をめぐるあっせん収賄容疑で大阪府警に逮捕された。現議員が改選されてからの2年間で、汚職事件で逮捕された府会議員は何とこれで4人目、しかもそのうちの2人が元府議会議長。先の府議会では、財政危機が叫ばれる一方で関空など批判の多い大型公共事業は継続という馬鹿馬鹿しい予算が承認されたばかり。いったい大阪府、そして府議会はどうなっているのか。社民党府会議員の小沢福子さんに現状と問題点についてインタビューした。(文責・編集部)

行政と議会、役人と議員のなれ合い
癒着の構造が蔓延している

 汚職頻発の大きな要因は、ひとつは行政と議会、役人と議員の癒着、もうひとつは府会議員が地元に事業を取ってくるのが自分たちの一番の仕事だと考えていることだと思う。
 都道府県の役割というのは国の政策を市町村レベルに分配すること。つまり、国は政策にいろんな補助金をつけ、その補助金にまた府が上乗せして、市町村に分配していく。そのことで、府を通じて国は市町村を操る。そうした構造の中で、府は府下の各自治体を操る総元締めになる。
 大阪府には1万6千人の職員がいるが、「閥」がきつい。この閥が議員と結びつきながら立身出世に利用したりしていく。一方、府会議員の側も情報を仕入れたり、仕事を取ってくるのには閥とか組織に結びついていた方が便利だということになる。お互いに「持ちつ持たれつ」の関係になっていくわけで、例えば、松波議員が逮捕された時に新聞でも報道された「泉佐野人事」というのがあって、府の役人が助役で泉佐野市に出向、「補助金を取るにはこんな計画にした方がいい」とかアドバイスする。それを通じて人脈が作られていき、利権構造ができていく。
 府会議員になりたての頃に驚いたのは、府職員と議員がしょっちゅう一緒にゴルフに行くという話を聞いた時。こんなことを日常的にやっていれば、その中で「あれ頼むで」ということになっていくのは当たり前。とにかくそんな構造が蔓延している。
 だから、何人逮捕されようが、いつも議会や府職員の間で流れるのは「次は誰か」という噂話ばっかり、それもその度に数人。今度も「さすがに自民党さんは議員団総会をしはったそうですよ。でも総裁選もあるし、そっちの方が中心だったんと違いますか」と。議会の信任の問題とかあり方なんて問題にもならない。共産党が辞任要求は出すものの、最近は逮捕されるとすぐ辞任するから、それ以上問題にもならない。個人が悪いと言うことで終わりになってしまう。
 唯一変わったのは入札制度で、予定価格は公表し、最低制限価格を設けないとか、インターネットで情報公開するとか。それはそれで一歩前進だが、悪いことをしようと思えばするし・・・。

政党も議員も地元に事業を引っ張ってくるのが

最大の役目だと思い込んでいる

 本来議員の役割は、地方自治法に書かれているように、行政が出してくる施策を調査しチェックし、きちんと行政と対峙していくことだと思う。府で言えば、例えば保育所や救急医療にしても、市町村によって状況が違う。そこで府として最低限のラインは守るためにしなければならないことは何か、ということを論議をしていくのが府議会の役割だと思う。自治体というのは生き物で、人口動態も変わるし街も変わるし、いろんな用件が変わっていく。その中で、施策はこれでいきますというその目的を実現する中身を吟味することが重要なはずだ。
 ところが、そんな視点から発言する議員は極めて少ない。府の職員もそれはこぼしている。「何を聞いて欲しい?」と議員が役人に尋ねたり、府の幹部が質問書まで作って議員にヨイシヨしたりというのが実態。
 そうなってしまうのは、やはり前述した補助金で利益誘導するという国の政策のあり方の問題だ。国が補助金で市町村を操っているから、いつまでたっても下は上ばっかりみることになる。しかも、その補助金も単年度の枠は決まっているわけだらから、先陣争いになる。だから政党も議員も、国から村レベルまでみんな「この事業は私がやりました」ということばかり強調する。私は高槻・島本選出だが、それは選出のやり方であって、何も地元に利益をもたらすとかそういうことをするのが府会議員の仕事ではない。そこが変わらない限り、政党の質も議員の質も高まらない。

これはもう市民の監視、

市民の参加でチェックを入れるしかない

 ではどうするかということだが、これはもう市民の監視を入れる、市民が参加することしかないと思う。
 現状で言えば、府議会や府会議員というのは何をやっているのか分からないというのが一般的な意識ではないか。前回の逮捕の時に何人かの人と話し合ってみた。「こんな異常な事態で議会が信任されているとは思えない。解散運動でもやるべきなんじゃないかしら?」と言ったら、みんなから異口同音に「何でそんなに落ち込むの。府なんての悪いに決まってる。この際に警察にもっと頑張って捕まえてもらったらいい」と言われて、少しショックだった。
 市町村レベルでは市民派の議員がドンドン出ていって、この力は誇りに思ったらいいと思うが、法に基づいてみんなの税金をどう暮らしのために使っていくかということをオープンに論議することを主張し、実際に論議を展開してきた。やり方は色々あったとしても、それが市民派の議員が果してきた役割だと思う。市民派の議員が出れば出るほど、そういうことについては市町村レベルでは常識になりつつある。

 特に府の事業で言えば、最終的に府の事業は市町村議会の中で論議になるわけで、そこでの論議が活性化すると、チェックがそれなりに入る。その意味でも、市町村議会の活性化は絶対に必要だ。ちなみに、逮捕された議員が府の南部に多いのは、相対的に市民派の議員が少ないことも要因の一つとしてあるのかなという気もする。だからと言って、北部選出の府会議員は大丈夫と言うことではないが・・・。
 ところが、府とか国とかはこれからその常識を入れていく段階なんだと思う。議会で一般質などを聞いていても、表面的な論議と実際に議員が動いている裏の動きが全く違っている。そこのところを市民の監視と参加で変えていかないといけない。
 今まで議員というのはそれなりの勉強をしたそれなりの人物なんだろうと思っていたのが、相次ぐ逮捕とか、市民派の議員が出ていって実態がだんだんん明るみになるにつれて、実はそうではなくてふつうの市民が出ていった方がよっぽどましだということがはっきりしてきた。今、府議会にはそういう意味での市民派はほとんどいないが、各地で市民派は力を蓄積してきており、もっと地域からドンドン府議会に出る、送りだすことに挑戦して欲しい。

(終)

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