今後は救援活動が不可能になる
「国際的組織犯罪防止条約」批准の問題点

「関西救援センター」第237号より

2001年 6月25日
通巻 1080号

 日本もすでに署名している「国際的組織犯罪防止条約」が、来年2002年5月には批准されようとしている。この批准に向けて、法務省は「国内法の整備」を検討している。
 この条約では、組織への参加それ自体を罪とする「参加罪」、もしくは犯罪の実行が伴わなくても共謀だけで罪となる「共謀罪」の設置が義務付けられている。これらが憲法第21条「集会・結社・表現の自由」に違反することは明白だが、法務省は「国際的な要請」との名目で押し切ってくるものと考えられる。
 この条約には、組織参加者に対してスパイを奨励し、訴追免除も規定しているなど、多くの問題条項を含んでいるが、特に第22条(予防)において、以下のような規定があり、弁護士等に報告義務を課そうとする動きがある。


一、締約国は、国際組織犯罪の防止を目的として、国内的な計画を開発し、かつ評価し、最善の慣行と政策を確立し、促進することに努める。
二、締約国は、国内法の基本原則に従って、適当な立法、行政又はその他の手段によって、組織犯罪集団が犯罪による利得をもって合法な市場に参入する現在の又は将来の機会を制限することに努める。これらの措置には、次のものが含まれる。
a、法執行機関又は検察及び関連する民間団体(企業を含む)の間の協力を強化すること。
b、公的団体及び関連する民間団体の高潔性を保全するための基準及び手続及び特に弁護士、公証人、税理士及び会計士などの関連する専門職業人の行動規則の発展の促進。(以下、略)


 この条約が対象とする国際的組織犯罪には「国際的テロ組織」とされるものが含まれ、今回の重信氏蔵匿事件の論告・判決をみる限り、この条約やそれに伴う国内法が発効した場合、今回のような被疑事件での弁護活動・救援活動が成立するのかどうか危惧される。
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▼「関西救援センター」第237号より/tel 06―6372―0779

(終)

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