教育現場で加速化する「魔女狩り」 |
第X期・反天皇制運動連絡会発行「PUNCH!」203号 |
2001年 6月15日
通巻 1079号
千葉の教員・渡壁隆志さんのでっちあげ逮捕、懲戒免職の知らせはショックだ。そこまでやるか、と思う。彼は何もやっていない。なのにまるで校長をひき殺そうとしたかのごとく新聞も書く。ワイドショーと同じだ。
大阪・豊中でも卒業式の行為を「威力業務妨害」として市教委が刑事告発。広島では、卒業式と入学式での「君が代」着席者78名に「戒告」という懲戒処分(身分・給与上の不利益を伴う)を発令。多摩市の中学校教員・根津公子さんは授業内容を問題にされ、理由も明示されないなか、市教委から「事情聴取」の攻撃がかかる。
こうやって、「不適格教員」がでっちあげられ、学校現場からはずし、そして首にする道すじが作られつつある。国会に提出されている教育改革関連法案が通り制度化されれば、勢いはますます加速するだろう。その先は教育基本方針―憲法改悪への道。今、学校にかけられている攻撃は明らかに政治的な意味を持つ。
品川区の教育長は「『君が代』で立たない来賓は招待しない」と発言した。その問題を考える集会で保坂展人さんは、盗聴法集会での発言が「法案に反対する積極的政治活動にあたるおそれがある」という理由で裁判官を罷免された寺西和史さんの話をした。「日の丸・君が代」強制の構図とよく似ている。座っているだけ、ピースリボンを着けているだけで、何もしていないのに、それは「魔女狩り」の対象になっていく。いったん「非国民」と認定されれば、たとえ立っても「歌っていない」、口を開けても「声が聞こえない」、歌っても「心がこもっていない」……攻撃はエスカレートするだろう、と。
「心の中で人を殺してもそれは罪にならない」はずの社会が、どんどん私たちの心の中に踏み込んでくる。立て!歌え!心をこめろ!ぞっとするではないか。
逃げ出すのが一番手っ取り早い、とは思う。しかし、そうもいかない私は、暗たんたる気持ちの中で日々自分をふるいたたせる。
深刻な不安は一度だって心に浮かばなかった。ぼくらが勝利しないことには生きていけなかったからだ(オーデン)
まあ、ここからやるしかない。(京極紀子/見出・編集部)
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