2001年5・30声明 |
私たちは
|
日本赤軍 |
2001年 5月25日
通巻 1077号
今年、1972年のリッダ闘争から29年目を迎え、そして21世紀で最初の5月30日を迎えました。この声明は、日本赤軍の名前で出す最後の声明となります。私たちの愛する同志、そして今は悔しいが獄中にある重信房子同志がすでに明らかにしたように、私たちは日本赤軍の解散を決定しました。これは、私たちの出生の地であり、その活動の大半を行ってきたベイルートで、1995年、5人の同志たちが逮捕された時から私たちが検討してきたことでした。
好むと好まざるとに関わらず、意識しているか否かに関わらず、1970―80年代の民族解放、社会主義、民主主義の実現を求める闘いは、社会主義を求める闘いの一部として全世界で互いに結びついていたし、ソ連をはじめとする社会主義諸国が資本主義諸国と地球を二分していた現実とも不可分でした。アラブ・パレスチナの闘いもそうであったし、それと共にあった私たち自身の歴史もそうでした。
そして、ソ連ならびに社会主義圏の崩壊以降、1995年、ルーマニアでの同志逮捕を皮切りに、私たちは多くの敗北を喫してきました。昨年11月8日には重信同志の逮捕を許してしまいました。同時に日本のなかでは、公安警察が「日本赤軍」という名称を口実に、同志を助けてくれた友人やあるいは無関係な人に対して逮捕、家宅捜索などをほしいままにする状況が続きました。あるいはマスコミを通じて、あること、ないことを発表し、進歩的な個人あるいは勢力を傷つけようとしてきました。
逮捕それ自体はやむを得なかったとしても、それによって引き起こされた事態は私たちにとって、申し訳なさと苦痛に満ちたものでした。重信同志の公判が進行しているなかで具体的な言及はさけざるを得ませんが、さまざまにご迷惑をおかけした人たちに心から謝罪いたします。
1991年、ソ連の崩壊は、人類の歴史にとって大きな転換をつくり出しました。グローバリズムという名の地球規模で展開し始めた資本主義と米国の全世界に対するなりふりかまわぬ覇権は、人と人を、国と国を限りのない競争に追い込み、貧困と生命の危機に追い込んでいます。人々の命までもが企業の利益に換算される破壊的な資本主義が地球上の隅々までをも覆い尽くし、人間が人間らしく生きる社会的条件と自然の条件を破壊しようとしています。
いまや危機は地球規模に広がり、世界中で多くの人々がこの現実に対して闘いを挑んではいますが、その流れはまだはっきりとした目標を見出せずにいます。私たちもまたその流れに合流して、ともに新しい社会の実現を求めて、形態はこれまでと違えて、日本において民主主義の徹底、一人一人が生き生きと参加できる社会の実現と、再度、国境を超えた大きな連帯を求めて出発します。
重信同志は、拘留理由開示公判で語りました。
「日本赤軍―人民革命党という形態は世界の20世紀の歴史として刻み、21世紀へのメッセージを日本から発信する新しい公明正大な世直しを運動として再生させたい」
世界各地で、日本の国内で、この困難な時代を闘い、生き抜きながら、闘いの初心を、人間としての尊厳を大切にしながら、かつての闘いを総括しつつ、新しい闘い方を模索している人々がいることを私たちは知っています。かつてさまざまな場で戦列を共にした友人たち、まだ出会っていないが志を一つにする人々へ、共に、幾度でも自らのあり方を正しながら、このグローバルな資本主義に挑戦し、21世紀に誰もが人間らしく生きることのできる世界、公正と正義にみちた世界の実現を求めていこうではありませんか。
リッダ闘争はそれを担った主体の不充分さはありながらも、闘った3同志の命を賭した自己犠牲精神によってパレスチナ解放闘争の新しい段階を切り開くことに共同し、同時に、言葉に尽くせない連帯を築きました。私たちは人々の苦しみや、貧困、困難を解決するために自己犠牲を惜しまない精神と、そして国境や民族を超えた連帯をしっかりと握りしめて、これまでとは異なる形態での日本の世直しの運動の一翼を担うべく出発します。
第一に人を愛するからこその自己犠牲とボランティアの精神、第二にお金や利益中心のグローバリズムではなく、「神の国」でもない、人間第一の人間主義、第三に国境や民族を越えた人民連帯を、引き継ぐべき柱として、自らの有り様を絶えず正しながら、すなわち自己変革をもって世界を変えていく考えを大切に進みます。
重信同志をはじめとする多数の逮捕という犠牲を払いましたが、反面、獄中の同志たちが私たちの闘いの総括を返し、公然と発言できる条件がつくられ、また逮捕された者の一部はすでに獄外に出、また近いうちに釈放される同志もいます。この条件を生かし、私たちは公然とした活動に転換します。公然合法の闘いとして、獄中同志の救援と岡本同志と同志を支えてくれている人たちとの連帯を強めていきます。人民連帯を推し進め、世直しの運動に参加して、日本から発信し、世界の人民と共に進みます。
岡本同志の亡命を認め、同志を保護してくれているレバノン政府と人民、アラブ、パレスチナの諸勢力に、そして日本で獄中の同志の救援のために協力して下さっている人々に感謝をささげます。
小さな勢力ですが、志は大きく、世代を継いで21世紀を本当により良い時代とすべく、勝利するまでは何度敗北しても、その敗北を礎にして世直しに挑戦し続けます。来年の5・30は新しい名称でのアピールを送ります。
(見出・編集部)
[ 「日本赤軍」のトップページへ戻る
]