大阪・島本町長選挙を振り返って

ここぞというときに団結するには

まだまだ時間がかかるのか?

◆島本住民

2001年 5月15日
通巻 1076号

 4月15日投票で島本町の町長、並びに町会議員選挙か実施された。マスコミがこぞって女性が議会の半分を占めるかどうかを面白がって報道していた選挙である。
 住民にとって最大の関心は町長選挙であった。「ひょっとしたら町が変わるかもしれない!」との感を抱かせてくれた選挙であった。現町長派に対抗して、町議を3期つとめた住民運動出身の南部さんが急きょ出馬したからである。結果は負けたが、そう遠くない時期に町を変える町長が誕生する!そんな可能性を確信させるに足る町長選挙であった。
 現町長派の危機感は相当なものだった。選挙戦の初めから終わりまで、政策論争など何もなく、ひたすら「過激派、あんな人に町を任せたら大変なことになる」と、個人攻撃に終始した。町に寄生する利害団体、グループ、業者にとって、現秩序の維持は死活問題にかかわる一大事。南部さんの政治へのスタンスは住民の目線と同じ。女性候補。それに長野県、直前の千葉県知事選挙の結果にみられるように、新たな政治のあり方を求めた住民の動きは止まることない流れとなってきていることも、彼らを危機感に駆り立てた大きな理由。
 国にはじまり地方に至るまで、土建業者、利害団体、税にたかる一部の者によって都合よく運営される行政などもうたくさん、という雰囲気は強くなってきているように思える。「福祉と健康」「住環境」「子供と教育」等の課題が住民にとって身近な問題になる中で、町政への関心が確実に高くなっている。発言する人たちの存在も増えてきた。
 実際、町長が変わっても不思議でない状況であったが、残念ながら2000票あまり差をつけられ次点であった。総投票数は15000票。当選町長は6500票あまり。善戦したともいえるが、チャンスを活かせなかった大きな原因は、住民運動派のリーダー間に前からあった個人的な私憤(理由は知らないがどうせ些細なこと)での不協和音が選挙中も払拭されなかったことであろう。
 「小異を捨てて大同につく」ことがなかなかできない現状は、かっての学生運動を思い出してしまう。わずかな違いばかりを強調してお互いが張り合う。そのことにエネルギーを消耗して終わってしまう。ここぞというときに団結するにはまだまだ時間がかかるのか!運動に足りない観点が何なのか と考えさせられた選挙でもあった。
                          

(終)

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