小泉首相の登場について
  ―「無党派層」の危うさ

京都・渭原武司

2001年 5月25日
通巻 1077号

 長引く経済不況や政治不信のなかで「自民党を変える」と、あたかも国民参加のような疑似総裁選をやって登場した小泉首相は、異常に高い支持率に乗じて「痛みを伴う構造改革」をうたい文句にしている。それがなんであるかまだわからない人が多数を占めながらも、国民の期待はかつてないほど高まっているようだ。
 一体、この国の人々やその中でもこの頃テレビや新聞で騒がれている無党派層の政治への関心はなんなのか疑わしくてならない。無党派層の動向が最近の選挙で決定的な役割を果しているが、先年、東京で青島、大阪で横山を「無党派知事」として登場させたが、あんな結果に終わってしまっている。各紙の世論調査をみると、無党派層からも小泉首相を支持する人々がいるが、彼らはもう無党派でなく政党支持者になっていることを認識しているのだろうか。
 いまの日本は大人も子供も、何かが不満で、イライラすることが多いのではないか、と思われる。こんな状況のなかで小泉首相が公言している憲法改正、集団的自衛権行使、靖国神社参拝、首相公選制、教育基本法改正などは、日本をどんな国に変えようとしているのか、よく見極めなければいけないことばかりだ。
 小泉首相がいまのまま居続けたら、野党を含めた政界再編によって、また「翼賛政治」の到来となるかもしれない。そんな動きを舞台裏でもうはじめている厄介な大物?の姿がみえてきた。

(終)

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