国労争議はJRに責任あり!
解決案なき国労臨時大会反対!
「4党合意」撤回!

東京・前田年昭

2000年 7月15日
通巻 1049号

当事者の声を無視した「解決」はあり得ない

 国鉄分割・民営化にともなう国鉄職員からJRへの「採用」の際の国労(国鉄労働組合)組合員に対するJRの採用差別問題について、政府与党3党と社民党との「4党合意」を受け入れるのかどうか。諾否を決める国労臨時大会は7月1日、東京・社会文化会館でひらかれたが、執行部原案、修正案とも採決に至らず、議長判断で休会となった(【資料(1)】)。執行部は、闘争団を非難する声明を発表し、8月、続開大会で「合意」受け入れを決める構えであり、戦後最長の争議はヤマ場をむかえている。

 1987年4月の国鉄分割民営化では他労組の100%採用に対し、国労組合員の採用率は北海道で48%、九州で43%と、2人に1人以上の割合で首を切られた。当時の首相であった中曽根康弘は、そのねらいを「総評を崩壊させようと思ったからね。国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやった」(「AERA」1996年12月30日号)と後日語ったが、独占資本と政府は日本労働運動そのものを解体するために国労をねらいうちにしたのである。

  以来、国労と日本労働運動は13年以上にわたって組合差別による国鉄解雇・JR不採用と闘い、「JRの法的責任」を追及し、各地方労働委員会は200件以上の不当労働行為への救済命令を交付し、中労委はJR各社に採用や選考やり直し等を命じた。しかし1998年5月、東京地裁は中労委命令を取り消し、国労と中労委が敗訴という反動判決を下した。ILO理事会本会議は1999年11月、国労の主張を認める結社の自由委員会の中間勧告を採択し、日本政府に勧告した。

  しかし、今年5月30日、政府与党3党と社民党は「JR不採用問題の打開について」と題する合意を確認、政治解決へ向け、国労に対して「JRに法的責任がないことを認め、臨時大会で決定する」よう求めた。この合意内容を5月29日に社民党から示された国労執行部は、臨時執行委員会で受け入れを決めた。これに対して、闘争団として「4党合意」受け入れ反対を確認した旭川、鹿児島など21の闘争団と有志は6月28日「『JRに法的責任がない』ことを認めることは屈辱的な解決水準による敗北を決定づけるもの」として、合意受け入れの即刻撤回と臨時大会開催の中止を求める合同意見書【資料(2)】)を提出、30日に都内でひらいた決起集会には、上京した各地の闘争団員・家族ら約1000人が参加した。また「労働委員会を守り国鉄闘争を応援する会」は6月27日に「JRに法的責任あり!国鉄闘争の勝利をめざす緊急集会」を開催し、4党合意受け入れは「争議組合にあるまじき選択で、労働運動に与える影響は計り知れない」と批判するアピールを採択した。

  こうした国労内外の「本部は闘争団を切り捨てるのか」「労働組合の団結を守れ」という闘いの盛り上がりが7月1日の臨時大会を休会させ、合意受け入れを阻止したのである。

 

一連の事実は私たちに何を教えているか

  第1に、「4党合意」は国労闘争団が指摘しているとおり、独占資本と政府の意思そのものであり、これまでの闘争の原点を否定し運動の大義を放棄するものである。政府とJRには社会的法的責任があり、全面屈服である「4党合意」は断じて認められない。

  第2に、社民党を含む「4党合意」は、労働組合に対する前代未聞の支配介入、不当労働行為であり、「内部」から闘う労働者を敵に売り渡すユダ≠フ役割を果たしている。当事者としての権利は闘う国労闘争団にこそある。「被害者の人権」を声高に叫ぶ社会防衛的傾向が増しているいまこそ、当事者優位の原則、怒りを権力に託さない原則を、労働運動とすべての大衆運動のなかに根づかせよう。

  第3に、支援の立場から東京清掃労働組合は「首を切られた当事者である闘争団のこのやむにやまれぬ行動に誰が非難など出来るのでしょうか」として、国労本部の「組合大国主義・本工主義」を批判しているが、労働運動の主力を中小企業労働者に求めることが日本の労働運動の再生のために急務となっている。 

リンク

「がんばれ国労闘争団」 http://www.jca.apc.org/ouen/

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人民新聞社

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