ようやく露呈しはじめたNの「用法」

Nシステム・一矢の会

1999年 10月15日
通巻 1024 号

 87年以来、警察庁が一貫してNシステムの実態を隠そうとしてきたことは、読者もよくご存知のとおりです。特に、その目的については「盗難車両・手配(逃亡等)車両の発見」と言い続けてきました。そして、実際には犯罪と関係ない車両の発見・追跡などに常用されているらしいと言われながら、なかなかシッポを出さなかったのでした。この公然のヒミツ状態が、ようやく少しずつバクロされているようです。
 ひとつは、各地で騒がれている「オウム再建」(?)の動きのチェックです。確かに常識では推し量れないオウムの動静ですが、行政の対応などには首をかしげざるを得ないものがあります。外は「不審船」に、内は「オウム」にと、国民の注意を向けさせ、国の失政に集まる批判を外らそうとしているように見えます。
 同時に「監視体制」の必要性を国民に刷り込み、盗聴やN盗撮を容認させようとしていることは、ミエミエです。
 オウム車両は、かつて全部警察に把握され、イヤガラセ「検問」がなされましたが、いままた似たような状況になりつつあります。不当なケースであっても、オウムだからといって容認したり軽視したりしていては、国民が自らの首をしめることになるでしょう。
 次に、最近私たちの耳に入った、7月ごろの「盗聴法」反対運動などへの参加者が警察によって露骨に情報収集されているという話の一例をご紹介しましょう。これにはNがからんでいます。
 不快な思いをしたのは愛知大学の学生たち、東京での集会等に参加しようと、レンタカーでマイクロバスを借り、29名で上京しました。7月13日出発、同15日に愛知に帰りましたが、往復ともに東名高速のみ利用しました。ところが、24日になって、そのときのレンタカー業者から電話があり、「神奈川県警があなた方のことを聞きたいと言っている。7月15日早朝5時45分ころ小田原付近で発見されたバラバラ死体事件について捜査している。目撃していないか聞きたいので」と言ってきたそうです。レンタカー業者とは親しいので、このように教えてくれたのですが、業者は結局警察には「協力」したとのこと。
 学生たちは死体発見当時はまだ東京におり、足柄SAで給油したのが夜20時ころだったそうです。警察はNシステムによる記録の「後検索」をして彼らに辿りついたと考えられるので、時間などからみても、この事件とは無関係であることは分かっていたはず。さすがに容疑者とは言えなかったようですが、「目撃者」と想定するのも全くムリ。つまり、公安による「活動家」把握の糸口として、事件が使われ、Nシステムはその足がかりを作ったわけでしょう。レンタカー業者と警察、道路公団と警察などの危ない癒着体制も、あらためて露呈したと言えるでしょう。
 続いて、9月7日と12日及び15日付けの新潟日報の記事・コラム。各県警とも、やってくれます。詳細は別途。

これでも用途が限られているというのか

弁護士 桜井光政

 今回愛知大学の学生からの聞き取り、Nシステムが学生の動向の監視に使われていることが分かった。元々Nシステムは公安による国民の監視が主たる目的だと考えていたので驚くにはあたらないが、国民はこのシステムの危険性をもっと知って欲しいものだとあらためて思った。そんな矢先に新潟日報の記事が届いた。
 新潟県警がNシステムをある中堅幹部警察官の行動監視に使っていたというものである。県警はNシステムで撮影、記録したデータをもとにその幹部の車の往復日時など、行動を詳細に把握していたとのことである。この調査方法については県警内部からも「Nシステム本来の目的から外れた使い方だ」「プライバシーに関することまでチェックされたら、かなわない」との批判があるという。
 「一定の重要犯罪の捜査に必要な場合以外には使用しないなど厳格な管理措置が講じられている」と豪語する国は、この事態をどう説明するのだろうか。
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▼「Nシステムニュース」第11号より
▼連絡/一矢の会・行政権力暴走抑止・有識者機構/東京都渋谷区桜丘町18─6日本会館8F桜丘法律事務所

「ムーブメント」〜Nシステムへ

人民新聞社

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