コンピューター2000年問題(Y2K)は、実際にはどんなことがどんな規模で起こるか正確には予想できないというのが真相です。大小無数さまざまな機械や装置に使われている埋込システム(コンピューターチップ)の多くが、西暦2000年を00年≠ニしてプログラムしてあるからです。年明けだけで問題が済むのかも、実は不明です。
電力・水道・ガスなどのライフライン、金融、航空機をはじめ交通機関にトラブルが起こる、海外の生産国は輸出ができなくなり、物資の不足が起こる、あるは中東諸国では淡水化プラントと石油パイプラインが使えなくなるために大惨事が起こり、それを西側諸国の陰謀と誤解するのではないか、といった推測が語られていますが、そこでなぜか、原発と核兵器のことは語られていません。
■メアリ・オールソンさんの警告
――原発と核弾頭の危険性とは
ワシントンの原子力情報資料サービスのメアリ・オールソンさんが、Y2K問題と原発・核弾頭の誤作動・偶発核戦争の危険を警告する講演を行いました。(本紙1015号で紹介)
原発も核弾頭もたくさんの埋込システムを使っているから、誤作動の危険はつきまとう。しかも原発は、冷却水を循環させるのに、外部の電源が必要なので、送電がとだえればメルトダウンの危険がある。万一に備えて、ディーゼルのバックアップ電源が原発1基につき2台ついているが、それは1週間しかもたず、かつ信頼性は90%である。さらに、原発に付随する使用済み核燃料プールは、格納庫に収まっているわけでもなく、冷却水循環のためのバックアップ電源もない。オルソンさんは、このように警告し、あとに述べるような対策を提案しました。
現在世界にある原発は433基、そのうち52基が日本国内にあります。日本の原発は最新式のものであるため、手動で停止可能な部分が少ないという点も危険です。今年11月にはプルトニウムを使う原発も稼働を開始するのです。
核施設を持ち、初めに2000年を迎える国は日本です。アメリカは14時間、ヨーロッパは8時間の時差があり、日本の様子を見てからアクションが取れます。
■WASHキャンペーン
WASH(World Atomic Safety Holiday・世界原子力安全休暇)キャンペーンは、このときオールソンさんの提案した3つの対策を、世界の原発・核弾頭保有国34ヵ国の指導者、責任者に要求していく運動として米国で、そして7月4日に日本でも発足させたものです。その対策は次の通りです。
(1) 原子炉とその関連施設の休暇は12月1日(原発は停止後冷却期間が必要なため)から新年後までとし、再稼動するには、Y2K基準を全て満たして、テストと監査を終了しなければならない。
(2)
新たなバックアップ電源(天然ガス複合タービン、燃料電池、あるいはその場にふさわしい再生可能エネルギー)を設置し、ディーゼル発電機も良好な状態であることを確認し、最低3ヵ月の燃料備蓄をすること。
(3)1999年12月1日までに、すべての核弾頭を取り外すこと。
WASHは、これまでに8月8日(広島原爆記念日)とそれに先立つ平和行進でもY2K問題をアピールし、全国各地での講演会などの活動、世界との連絡を続けてきています。
特に重要なイベントは、9月21日にベルリンで行われた、G8によるY2K問題特別会合でした。それに向けて、現在WASHのメンバーが欧州入りし、欧州議会にに対する陳情活動を展開しました。
この会合の前日9月20日には、ベルリンで「核問題国際市民フォーラム」が開催され、数万人規模のデモが行われています。
■私たちにできること
(1)9月21日のG8・
Y2K特別会合で日本はエネルギー分野の議長国でした。早急に遅くとも、会長宛9月の半ばまでに、総理大
臣、通産大臣、電気連合会にアピール文を送って下さい。
▼送り先/(1)内閣総理大臣・小渕恵三→〒100―0014千代田区永田町2―3―1/(2)通商産業大臣・与謝野肇/〒100―8901千代田区霞ヶ関1―3―1通商産業省/(3)電気事業連合会会長・大田宏治→〒100―8118千代田区大手町1―9―4経団連ビル
(2) さらに、他の政治家、自治体の役人、企業の重役、好きな有名人等にも(ジャンルを問わず)ファンレターを兼ねて、メアリ・オールソンさんの講演録を付けて送りましょう。
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■問い合わせ先/Y2K ・WASH事務局/〒164―0001中野区中野
5―52―15 コープ・ブロードウエイ730号室/tel03―5345―5618・
03―5345―5613
(文責・萩谷良、要約・編集部)
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