【浦島オバさん太郎の日本すごくない!(7)】貧困忍び寄る令和枯れすすき

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1973年と79年のオイルショックを覚えているだろうか? 究極の不景気な頃の日本で、私は小学生だった。母親がトイレットペーパーを買い占めて押入れに隠していた。ある日、隣の奥さんがトイレットペーパーを貸してくれと来たが、母親は「買えなかったから、ない」と、嘘をついて追い返した。彼女にしたら、自分の家族の分を他人に渡してたまるかと、必死の思いだったのだろう。  

そして、その頃「昭和枯れすすき」という歌が流行った(1974年、ポリドールレコード)。「貧しさに負けた いえ、世間に負けた」「幸せなんて望まぬが 人並みでいたい」と謳うもの悲しい歌だ。  

消費税が10%になり、公務員の給料は上がるんだろうけど、私の給料は上がらない。だから、私にしたら今は正に「令和枯れすすき」の気分である。半世紀以上生きた自分の人生は、相当の努力もしたし、チャレンジもした。しかし、この傾いていく日本の中で自分の過去の栄光が薄れていくのがひしひしと感じられ、貧困が忍び寄る。  

最悪の年齢差別攻撃

アベ政権は私たちに、70歳になっても自分の食い扶持を自分で稼げ、と強制している。年金支払い額を減らし、受け取り年齢を上げる。  

だからと言って就職における年齢差別を修正しようともしない。40代以上の中途採用などは、ほとんどがパートや委託、またはアルバイトなどの不安定なもので、今までの仕事や経験を活かせるようなものはほとんど無い。たいがいは食堂の洗い場・清掃・警備など、低賃金でオマケに長時間労働・辛く・キツイ仕事ばかり。最近ではコンビ二のレジに高齢者が働いているけど、気の毒で目があわせられない。私は70歳になった時、コンビ二の面接に行くことができるのか? と考えた時、涙が出そうになった。  

私は日本に帰国して就職活動を始めた頃に、最悪の年齢差別攻撃を受けた。電話しても年齢を聞かれたらThe end……。「20代活躍中」の本当の意味を知らずに電話して、年齢を答えた途端に会話がぎこちなくなる。自分の望む仕事はなく、あるのはビルの清掃や電話で物を売りつけるような詐欺会社ばかり。外資系の会社でさえ私より英語がはるかにできないような人を30歳だからと採用する。  

ハローワークなどは差別の親玉で、どうして年齢で決めるのかと詰め寄る私に、「見た目が大事だから」と見た目が非情に酷いオヤジ職員が答えた。興味のあるポジションは、ほとんど最低賃金のバイトか委託。安定なんか望めるわけがない状態だ。  

多様な人々が働ける場を

アベ政権は、高齢者に働けと言いながら、働く場所を与えない。私は某電鉄関連の清掃会社で障がい者と高齢者をこき使う「指導員」になったが、あまりに惨めで3カ月で退散。想像してよ! 76歳の爺さんに階段の掃除をさせて、それを監督するなんて私にできるわけないだろう! 台風の影響で野菜の値段が恐ろしいほど上がる毎日、仕事しなければ少ない年金なんて直ぐになくなる。  

日本は高齢者に本当に働いてほしいと望むのならば、就職における年齢差別を今すぐに止めるべきだ。若い人が中年・高齢者より優れているところなど、私には一つも見つけられない。見た目よりも経験を重視して雇い入れなければ、選択肢が多い若者は直ぐに辞めていくだろう。  

確実に若い人の数が減っているのに、今更年齢で面接を拒否するなんて愚かなことをするのはこの国だけなんじゃないかと思う。イギリスでは、年齢・家族構成など質問できなくなっている。そんなことは仕事には関係ないし、差別を生むからだ。  

日本も先進国だと豪語するのなら、履歴書や求人広告から年齢を削除して、年齢差別を止めるべきだと思う。そうすれば今よりももっとユニークで多様性のある人たちが応募してくるだろう。日本は本当に凄くない! 本当に経済発展したいのか? オバサン太郎は疑いながら今日も今よりもマシな生活を捜す! 「辛くても 生きる 2人は 枯れすすき」なのだ!

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