【気候変動】アマゾン火災だけでない コンゴ・泥炭地域火災の脅威

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ロバート・ナシ 「Truth out 9月5日」  翻訳 脇浜義明

 アマゾン火災が注視されているが、ヨーロッパやアフリカでも山火事が多発している。とりわけ心配なのは、世界で2番目に広い熱帯雨林で、メキシコ1国ほどの面積を持つコンゴ盆地だ。コンゴ盆地には世界最大の原生林と泥炭地がある。山火事とインフラ建設が、コンゴ盆地のエコシステムに重大な脅威をもたらし、炭素排出量制限目標達成の障害となっている。  

コンゴ泥炭地は中央キュベット州にあるが、約30ギガトンの炭素を含有し、米国が排出する炭素15~20年分に相当する。このため、この泥炭地の保全が国際協力のもとで進められている。昨年、同地で農業・伐採・石油やガスの採取を持続可能な形で行うモデル地区とする画期的合意が、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、インドネシア間で結ばれた。  

他にも、国際熱帯泥炭センターを通して、熱帯泥炭地域に関する経営戦略情報の交換合意が、先進国を排した「南々協力」を軸として結ばれた。同センターは、私が所属する国際森林研究センター(CIFOR)に本部を置いている。CIFORはインドネシア、ペルー、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国の協力で結成されている。  

CIFORが、泥炭地に関する保全研究機関の必要性を認識したのは、2015年、乾燥のために長期間燃え盛ったインドネシア大火災のためだった。いくつもの泥炭地火災や煙害のために死者10万人、病院搬送者50万人、経済的損失は10億ドルに及んだ。すでにインドネシア政府は、原生林と深さ3メートル以上の泥炭地の開発工事の禁止を宣言していた。2016年には、すべての泥炭地で工事禁止が拡大された。  

緊急要する 泥炭地保護

泥炭地のエコシステム上の価値を過小評価すべきではない。何万年にもわたって堆積した腐蝕有機物の層が豊富な炭素を含有している。農業やその他の目的で泥炭地から水が抜かれると、火災などの災害の可能性が大きくなる。ピート(泥炭)火災が発生すると、何年間も燃え続け、土地が劣化し、地盤沈下、洪水、浸食が起きやすくなる。  

世界的に、農・林業のために泥炭地が開発されている。泥炭地は世界の陸地の3%にすぎないが、森林バイオマスの2倍の炭素を含有している。乾季に自然発火に見舞われることがあるが、農地作りのための野焼きが大火災に発展する場合もある。  

火災や干ばつは、気候変動危機の解決にとって大きな障害となる。火事は、長年にわたる森林管理努力を水泡に帰す。だから、火事に備え、景観維持のためにも、コンゴ盆地などの泥炭地を乾燥させてはならないのである。泥炭地の生物多様性を保全し、炭素貯蔵を安定させて温室効果ガスを放出させないための諸政策を、世界が協力して実行すべきである。アファーマティブアクション的な行動をとり、国際的ガイドラインと国際的組織を作って、熱帯雨林を保護すべきだ。

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