【バリアのない街】医療福祉についての政策を求める 介護現場の人々 遙矢当(はやと)@Hayato_barrier

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 「車いすの人が当選したら、どうしますか?」―私がそう問うた瞬間当惑した職員の顔が忘れられない。30年前、小学校の社会科見学で国会に行った時のことだ。今夏の参議院選挙で30年前の問いの答えが出た。  

「れいわ新選組」が舩後靖彦、木村英子の両議員を参議院に輩出した。彼ら2人の当選で障害者の働き方や、障害者総合支援法が変わり、障害者にとって高くそびえるバリアが、ようやくこじ開けられようとしている。だが、参議院選挙の結果を見て、私は焦ってもいる。  

例えば、車いすの議員は、れいわの議員2名以外にも、横沢高徳(国民民主党/岩手選挙区)が誕生したが、注目する人は少ない。れいわの議員2人と横沢に政策の差はある。政治にダイバーシティ(多様性)を求めるのなら、もう少し丁寧に議論してよい。  

今回の参議院選挙では、医療福祉の各団体が候補を立てた。例えば、自民党候補で医療法人理事長の山本左近(比例)などだ。山本は一部の介護事業者から熱狂的な支持を得たが、大差で落選した。比例区名簿の中で山本の処遇が低く、落選は必然とも思える。  

他にも日本医師会が医師の羽生田たかし(自民党/比例区)を送り込んでいるが、こちらも比例名簿の下位で落選したし、薬剤師の本田あきこ(自民党・比例区)も、同様に落選した。  

しかし、それでも医療福祉従事の人たちは、自民党を支持する。診療報酬・介護報酬の削減を進め、人手不足の解消を人材会社の顔色を見てためらい、医療法人や介護福祉事業者の自由を奪う通達を厚生労働省にそそのかしたとしてもだ。  

しかし一方で、野党連合の医療福祉に関する具体的な政策提言ができず、争点づくりができなかったことは残念だ。医療福祉の政策に精通している議員が不在で医療福祉従事の人々は、野党連合の候補者に「話しても無駄だ」と思う人が多い。野党連合は、政策議論のテーブルにすらつけていないのだ。  

「消費税が10%になって、福祉目的でこの2%分の増税をいかにすべきか野党に聞きたいのに」という声は、医師、看護師、介護士から聞く機会が増えている。  

冒頭のれいわ新選組は、医療福祉についての政策を、まだ明確に示そうとはしていない。どのような政策が立案されるか、注目したい。

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