【緊急報告 釜ヶ崎より】センターは閉まらず大谷 隆夫(釜ヶ崎公民権運動/釜ヶ崎医療連絡会議)

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ジェントリフィケーションへの抵抗

 1970年に竣工された、あいりん総合センター(以下、センターと略す)は、釜ヶ崎日雇労働者にとっては文字通りなくてはならない場所ですが、このセンターが、ジェントリフィケーション(地域の高級化=貧しい人々を追い出す)の流れの中で、今、まさに、「解体」の危機に晒されようとしています。  

2018年12月20日に行われた、西成区「あいりん地域のまちづくり」労働施設検討会議において、「2019年3月31日を目処に現センターを閉鎖」ということがアナウンスされたのですが、これを受けて、2019年2月19日には、現場(西成労働福祉センター)の方からも「センター閉鎖」という愚策を中止させるよう大阪府に対して働きかけるとともに、この件についての話し合いを行うことを強く求める要望書が、申し入れ団体3団体(釜ヶ崎地域合同労働組合、釜ヶ崎公民権運動、日本人民委員会)と、賛同団体7団体(大阪城公園よろず相談、釜ヶ崎医療連絡会議、釜ヶ崎パトロールの会、映画『月夜釜合戦』制作委員会、自由労働者連合、揚羽屋、集い処はな)の名前を連ねて、西成労働福祉センターに提出されたのです。この要望書を提出以降、西成労働福祉センターと4回(2月26日、3月5日、3月12日、3月26日)にわたっての話し合いが持たれました。  

そもそも大阪府は、「耐震性に問題がある」という理由で、センター閉鎖(具体的にはセンター1階のシャッターを閉鎖する)を決めたのですが、そうであるならば、センター1階の上部に設置されている、市営住宅や医療センター(医療センターについては後2年ほど運営を続ける)はなぜ、その運営を、センター閉鎖以降も続けるのか? 結局、これはセンター1階や3階を日常的に利用している釜ヶ崎日雇労働者を追い出すための口実に過ぎないのではないか? これらの疑問に対して、西成労働福祉センター、大阪府(3月26日の話し合いの際には、大阪府の職員も出席)は最後まで、まともに答えようとはせず話し合いは最終的には決裂しました。  

3月31日当日は午後3時頃から、延べ人数で300人を超える、釜ヶ崎日雇労働者や、センター問題に関心を持つ支援者が続々とセンターに集まり、「センターを閉めるな!」という声をジャンベ(太鼓)の音色とともに叫び続けたのです。この叫びに対し、大阪府、大阪府労働局の職員は、「退去命令」が書かれたプラカードを掲げセンター内を練り歩き、深夜遅くになってからは、「退去しない場合には警察に通報します」というプラカードが掲げられ、アナウンスが流されましたが、誰も退去する気配がありません。  

日付の変わった4月1日の午前1時30分には、ついに、大阪府の職員は、「本当はシャッターを閉鎖したかったのだが、そうもいかない状況(つまり抗議者が多すぎる)なので、今日のところはシャッターを開けたままにしておく」という言葉を言い残してその場を立ち去ったのです。  

センター閉鎖は当然のこととして、最悪の場合は、逮捕者も出ることが予想された状況の中で、センター閉鎖を阻止できたのは、とてつもない大成果だと言えます。この成果を踏まえて、釜ヶ崎におけるジェントリフィケーションの流れを少しでも食い止めるための闘いを、今回のセンター閉鎖阻止の闘いに参加してくれた全ての仲間と、これから新たに闘いに参加してくれる仲間とともに、これからも粘り強く続けて行かねば、と改めて思っています。  

4月1日以降、センターは労働者や支援者らによって自主管理が続いていますが、今後の私たちの取り組みへのご支援とご注目を改めてお願いいたします。

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