社会運動が否定される国への第一歩 永嶋靖久さん(弁護士)インタビュー

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歴史に残る労組大弾圧

 2月5日 15人逮捕→2月26日 9人が恐喝未遂、6人が威力業務妨害で起訴→現在10人保釈、5人勾留/2月18日 1人逮捕→3月8日恐喝未遂で起訴と、関西生コンへの弾圧が激化している。弁護団の代表を務める永嶋弁護士に、弾圧の狙いと支援者は何をすべきかを聞いた。  

永嶋弁護士は、「カンパ・傍聴・署名が必要だが、そもそも事件の発信が十分ではない。支援の輪を広げるために協力をお願いしたい。事実関係は本にまとめた」と語った。(編集部 村上)

―大阪府警や滋賀県警の狙いは?  産業別労働運動(企業の枠を超えた労働運動)を潰すことです。滋賀県警は被逮捕者に「連帯労組を潰す」と言い、取り調べ中も組合をやめるよう迫っています。このような大規模な弾圧は、1960年の三井三池闘争以来で、教科書に載るほどの歴史的事件です。

 ―一般の組合員が完黙を貫けた理由は?  組合員は、自分たちの雇用・賃金はこの労働組合があってこそだと確信しています。政治課題に取り組み、逮捕だって恐れない、何十年も戦ってきた労働組合だから。  

資本家と対決するため、一般組合員がマルクスの資本論の学習会を開くなど、世の中を変えなあかんとみんな確信を持っているのです。完黙は難しいので、調書を作らないよう「調書に署名と押印をしない」と約束しています。  

逮捕される前から「逮捕へ」という記事が出て、一般組合員の家の前まで新聞テレビが押し寄せ、日本第一党・瀬戸弘幸のグループが宣伝をしました。一般組合員の家族が心配するので、報道は間違っていると発信したいです。報道倫理委員会への訴えと国連通報を準備中です。  

組合員はカンパや署名、傍聴に励んでいます。しかし、傍聴席の9割が傍聴動員された大阪広域協組で、被告人に「一生出てくるな」って罵声が飛ぶ。普通だったら、被告人が出入りするときに「頑張れよ」って手振ったりするじゃないですか。でも、被告人を励ます5、6人を除いた人間は、黒い服を着て野次を飛ばしています。傍聴の動員の大事さを実感させられます。  

カンパ署名は関西中心でやっていますが、3月半ばから平和フォーラムの代表や全港湾の代表が呼びかけて佐高信さんや鎌田慧さんが賛同して東京でも大規模に開始されます。  

G20サミットの影響も大きく、大阪府警はピリピリしています。  

滋賀の事件でも、最初に滋賀の湖東・大津協の業者を逮捕し、警察の言いなりの調書を書かせました。こうして、業者・組合幹部・組合が全体で恐喝したことにしました。  

共謀罪もいらなくような弾圧

共謀罪のリハーサルというよりは、「共謀罪もいらなくなるような弾圧」です。ビラをまいたら逮捕されると思うと、ビラまき自体が選択肢にのぼらなくなってしまいます。このままでは権力が許す団体の活動しかできなくなります。  

書店に並ぶヘイト本や、沖縄、憲法改正を問題視し、「弾圧されてる組合があるから支援しよう」だけではダメです。関生弾圧を自分の問題として取り組まないと勝てません。個別の問題が相互につながっているという捉え方で取り組んでいかなければいけません。  

組合員はこれまで1800人といわれていましたが、大阪広域協組による不当労働行為により、減っています。関生組合員は仕事は取れなくなっています。高い賃金で働く労働者は、資本の敵だからです。労働者が団結して雇用・賃金を守ること自体が許されなくなっているのです。  

今回の弾圧は、将来、日本の歴史年表に記されるくらいの大事件です。これを押し返さないと、日本の労働運動はもちろん、社会運動の闘い自体ができないような社会になってしまいます。力を振り絞っての支援をお願いしたいのです。

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