再稼働した玄海原発・蒸気漏れ事故ですぐに停止

事故招いた九電のズサンな点検再稼働は必ず事故招く

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 3月6日、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」など3団体が、再稼働反対を求める請願書を佐賀県議会議長宛てに提出した。原発に対する住民の不安を切り捨てないことや、県議会として玄海3、4号機再稼働を認めず、山口祥義知事に同意撤回を求めるよう訴えたが、県議会は、再稼働の容認決議を賛成多数で可決した。

 また、佐賀地裁は3月20日、運転差し止めを求めた市民団体の仮処分申し立てを却下した。これにより、九電は23日に3号機を再稼働した(4号機は5月予定)。しかし30日、発電出力上昇中の玄海原発3号機の2次系配管から蒸気漏れがあり、31日に発電と送電が停止された。点検では、配管に直径約1センチの穴が開いていることが確認された。雨水が金属板の継ぎ目から浸入し、配管が腐食したとみられている。

 再稼働前にも点検は行われたが、保温材を巻いたまま外から見ただけだったため、腐食や穴あきを見つけられなかった。保温材を剥がす点検は12年前に行われて以来。杜撰な点検が今回の事故を招いたと考えられる。

 この事故に関し、九州電力は、玄海4号機に設置している同様の配管16本を交換すると発表した。4月14日までに交換作業に着手し、数日で終える予定。4号機の原子炉への核燃料の装着作業は、配管の交換終了後になる。

 国内の商業用原子力発電所には、加圧水型軽水炉(PWR)と沸騰水型軽水炉(BWR)がある。PWR型の原子炉では、原子炉内の水に高い圧力をかけることで、約320度の熱水を作り、この1次冷却水は蒸気発生器で復水器から給水される2次冷却水に熱を伝え、再び原子炉に戻る。この系統を1次系という。

 2次冷却水は蒸気発生器で1次系から熱をもらい蒸気となり、タービンを回す。タービンを回し終えた蒸気は、復水器内で海水で冷やされ水に戻る。このように2次冷却水が循環する系統を、2次系という。そのため、電力側からは美浜原発に続き2次系の事故については、「1次系の水は原子炉容器内を通ることから放射能を含むが、2次系の水は1次系の水と直接混ざらないため放射能の問題はない」と説明されてきた。

自然エネルギーを阻害する原発  豊島耕一さん(佐賀大学名誉教授)に聞く

 九電は「問題はなく、放射能漏れもない」と言うが、県議会でも問題視され裁判も起こった。これについて、再稼働反対を訴える佐賀大学名誉教授の豊島耕一さんに話をきいた。

 「再稼働は認められません。今回のトラブルにより、九州電力によるズサン管理、つまりメンテナンスができていないことが明るみに出ました。九電自身、全てを点検できるかわからないと言っています。2次系に限らず、構造が複雑な原発内部には、トラブルの元がたくさんあります。

 2次系だから心配ないと言いますが、79年にスリーマイルがメルトダウンを起こしたのも、2次系トラブルが発端でした。軽く見ていたら、そこからエラーが重なりメルトダウンとなった前例です。決して『2次系だから安心』とは言えません。また、危険性の問題ももちろんですが、3月5日の『NHK朝イチ』が明らかにしたように、そもそも九州は電力が余っています。

 原発を動かせば、太陽光や風力発電などの自然再生エネルギーの稼働を止めることになります。原発は、自然再生エネルギーの発展を邪魔しているという点でも、トラブルにかかわらず稼働すべきでないと思います。つまり、原発は必要性そのものがないのです」(聞き手 編集部・村上)

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