【視点論点】ガザのもう一つの悲劇 PAやファタハの堕落 

編集部 脇浜義明

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人間の命は党派の駒ではない

 どこでも政府とか団体指導部というものは、国民や成員のことよりは、自分の権力や地位の保存や拡大に関心をもつ。パレスチナでも同じようだ。パレスチナ自治政府(PA)とガザを統治するハマースの確執は知っているが、ガザで帰郷デモと抗議を行っているのは、ハマースでなく、一般民衆である。武器を持たない一般民衆の平和的抗議集会、せいぜい子どもが投石する程度の抗議の意思表示に、イスラエル軍は、戦争さながら実弾を発射している。

 電子インティファーダの記事によると、ガザは米国の兵器企業が開発する武器・弾薬の実験場となっている。死者・負傷者は日々増加している。

 「パレスチナ人の苦境は、役に立たない『指導部』を抱えているという重荷で、いっそうひどくなっている」と『パレスチナ・クロニクル』のラムジー・バルード。彼によると、最近アッバース大統領は西岸地区民衆の支持と忠誠を回復しようと懸命になっているという。自分の一族や配下の官僚、労組、専門家集団、企業を動員して、「マハムード・アッバース大統領への忠誠と支持を新たに!」と書いたステッカーや横断幕を、ラマッラーの街中に貼って回っている。

 「新たに」とは、アッバースは09年の選挙でハマースに敗れ、本来なら政権を降りなければならなかったのだが、イスラエルと米国の支援で政権に居座っているだけで、正統性を失っているからだ。それはともかく、自民族の人々がガザで虐殺されているときに、そんなことに力を入れている指導者など言語道断である。

 党派PR戦という観点から見れば、ガザ犠牲者の血のおかげでハマースが国際的に有利になったというのがイスラエルの見方で、PAもそれと同じ考えをしているのだろう。それが政治というものらしい。しかし、人間の命は党派が操作する将棋の駒ではない!

 PAやファタハがそんな発想で動いているとしたら、イスラエルや米国と変わるところがない。

 PLOがベイルートにいた頃からパレスチナ解放闘争を支持してきた私は、ファタハがそこまで堕落したとは思いたくない。

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