【映画紹介】『被ばく牛と生きる』

(監督/松原保 プロデューサー/榛原健)DVDのお問合わせは株式会社パワー・アイ TEL06-6367-5700

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 福島原発事故の2ヵ月後、農水省は原発から20km圏内の家畜の殺処分を命じた。理由は「放射能に汚染された食肉を流通させないため」。この処置により、牛3500頭、豚3万頭、鶏60万羽などが殺された。

 しかしこの殺処分を受け入れず、牛を飼い続けている人たちがいた。映画は「被ばく牛と生きる」人々と、彼らが関わる行政や社会の人々、そして福島の自然を描き出す。

 被ばくした牛たちのその後は四通りだ。逃げられないように小屋に閉じこめられたりして餓死し、ミイラ化したもの、この映像は胸に刺さる。農水省の殺処分で殺され地中に埋められたもの。小屋から逃げ出して野良牛となったもの。そして殺処分に反対して、飼い続けられている牛たち。

 牛を飼い続けることは認められるが、圏外には出さない、流通させない、繁殖させないという条件がつく。えさ代や管理費用は当然飼う人の負担だ。

 このため、当初10数軒あった畜産農家は5年後には5軒にまで減ってしまう。代表的なのは希望の牧場の吉沢さん、「圏外に出さない」禁を破り農水省前に牛を連れて行き、抗議行動を行った人だ。他の人たちも、それほどの行動性はないものの、信念をもって牛を飼い続ける。そして政府からの圧迫や経済的負担に耐えかねて殺処分に同意する人も出てくる。

 映画は、「原発は悪い」とか「東電は悪い」ということを大声で言うわけではない。人々の声や行動や被ばく地の実態や自然を描き続ける。これらを通して、原発や政府とはどういうものかを私たちに考えさせる。

 松原保監督は、取材や撮影を通して「なぜ彼らは牛を生かし飼い続けるのか」を考え続けたという。そしてある思いに行き当たったという…。  

 (山猫)

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