多発する米軍機事故 沖縄県民を守る意思も能力もない日本政府

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稲垣絹代(名護市民・看護大学教員20年・大阪出身)

 1月6日、また伊計島にヘリが不時着した。最も近い住宅は100mしか離れていない。1年前は農道。今回は浜辺だ。沖縄に在住して9年近くになるが、2~3年前から多発する米軍の航空機事故や関連する日常生活への影響は、ただならぬものがある。

 普天間飛行場に2013年までに24機の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配備された。従来のヘリと比べ深夜・早朝の訓練が増加し、飛行ルートも普天間飛行場から伊江島や北部訓練場へと延びており、騒音被害を訴える地域が増えている。

 キャンプシュワブと伊江島と高江の三角地帯の真ん中に位置する名護市の我が家の上空にも、夕方に北部の方面へオスプレイやヘリが1~2機、轟音を挙げて通過し、その夜の22時ごろに引き返す日々が昨年から増えている。

 あろうことか、昨年12月7日には宜野湾市内の緑ヶ丘保育園にCH53Eヘリの部品が落下し、一週間後に普天間第二小学校に米軍ヘリの窓が落下した。しかし6日後に市民、父母たちに納得できる説明もなく、米軍は同型ヘリの飛行の再開を始めたのだ。日本政府はこれを追認し、沖縄県民を守る意思も能力もないことが今回も明らかになった。

 「子どもの命をなんだと思っているのか。何もしなければなかったことにされる」と、『米軍基地被害から子どもを守り、安心・安全な教育環境を求める市民大会』が沖縄県内の教育関係6団体の主催で12月29日、宜野湾市役所前で開かれた。大会には市民団体や労組49団体も賛同団体で加わった。

「自作自演」の誹謗中傷に怒り

 14時開会だが、13時前から会場周辺には多くの親子連れや子どもたちの参加者が姿を見せ始めた。杖をついたり車いすの高齢者や障がい者の姿も目立っていた。参加者は600人にもなり、会場周辺には入りきらず、道路を隔てた歩道で集会に参加している人々もいた。

 県PTA連合会会長、緑ヶ丘保育園園長、普天間第二小学校保護者、緑ヶ丘保育園父母会副会長らが次々と「子どもが安心して過ごせる環境を強く望む」「危険と隣り合わせの生活に歯止めをかけるために声を挙げなければならない」「普天間飛行場は我々の土地を勝手に取り上げて作ったものだ。存在そのものが人権侵害だ」「ありえないことが起きた上に、(自作自演だという)いわれのない誹謗中傷にどれだけ苦しめられてきたか」「保育園、学校上空の飛行禁止を求めたい」と声を詰まらせながら訴えていた。

 いつもの県民集会のような政治家が発言する場面はなく、飛行禁止を求める嘆願書の署名や励ましの手紙のことも報告され、最後に「保育園や学校施設の上空の即時飛行禁止を強く求める」ことを決議した。宛先は在沖米軍と、首相、外務・防衛・文部科学・厚生労働大臣、である。集会が開催されている最中にも上空をオスプレイやCH53が我が物顔で何度も飛びまわっており、人々は空をにらみつけた。

 緑ヶ丘保育園父母会が集めている署名は、1カ月で全国から5万筆以上集まっている。1月末まで続け、関係省庁に抗議、要請に行く。

米軍機事故野放しの根底に沖縄差別への日本人の沈黙が

 2016年12月に名護市安部の海岸にMV22オスプレイが墜落し、乗員2人の負傷者が出た。大浦湾をはさみ、キャンプシュワブと相対する静かな小さな集落から700mしか離れていない海岸である。17年8月には普天間所属のオスプレイがオーストラリア沖で墜落して3人が死亡し、エンジントラブルなどの緊急着陸は石垣空港、奄美空港、大分空港などでも発生した。危険性への不安は、沖縄県外にも広がっている。

 攻撃用ヘリも、昨日不時着したうるま市伊計島の農道に、大型輸送機が久米島空港に緊急着陸した。地元市町村は原因究明までの飛行停止や再発防止を求め続けてきたが、地元の意向は無視され、米軍は訓練を繰り返している。そんな中、10月には東村高江の民間牧草地で大型輸送ヘリが炎上した。県民の不安や怒りが渦巻く中、11月30日には最新鋭ステルス戦闘機F35Aから機体パネルが落下していた。「海上に落ちたらしい」という米軍の発表しかない。

 今年1月6日の琉球新報によると、米海兵隊のオスプレイは、2017年9月末までに普天間所属機の事故やトラブルが相次いで発生しており、10万飛行時間当たりのクラスA事故率が9月末現在で3・27となり、普天間に配備された2012年9月末の1・65から約2倍に増えた。

 さらに、5年が経過しても、まだ1機も定期整備が終了していないとも防衛省装備庁が明らかにした。従来から言われてきたオスプレイの危険性が、沖縄の住民すべてにさらに牙をむいてきた、といっても過言ではない。

 日米両政府が在沖米軍基地を維持し、辺野古新基地建設の強行を可能にする根底にあるのは、日本の安全保障のために米軍基地は必要だが、自分の庭には望まないと現状を黙認する日本人の「沈黙」だ。沖縄差別に対する日本人の沈黙が続く限り、沖縄だけが重過ぎる基地負担を強いられる構図は変わらない。

 しかし、現代の沖縄の人々は、もうだまされない。日米両政府の思うままにはならない。沖縄中で、「海兵隊撤退、普天間飛行場即時閉鎖、県外・国外移転、辺野古新基地作らせない」の怒りの声が広がっている。

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