【大阪・京都で秋の反戦集会】辺野古新基地建設阻止を誓う

朝鮮危機を口実に暴力的に進められる辺野古新米軍基地建設への怒り

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2週続けて台風が週末に列島を襲った10月後半、大阪・京都で秋の反戦集会が雨の中行われた。両方とも沖縄からゲストを迎え、安倍政権の暴力的な基地建設への切迫した怒りが「本土」の参加者に投げかけられた。それを中心に報告する。

斎藤貴男さん 改憲の2つの本質

 まず10月21日、エルおおさか大ホールで「2017戦争あかん! 基地いらん! 関西のつどい」が開かれ、約800人が参加した。1960年代のベトナム戦争時に提起された「国際反戦デー」に合わせた毎年の集会だ。まず、フリージャーナリストの斎藤貴男さんの話をお伝えする。

 『大日本帝国の復活と、対米追従しながらの軍事強化の両立』が改憲の本質だ。この二つは矛盾しない。『明治150年の祭典化』に顕著な、大日本帝国の賛美。ただストレートに復活させれば間違いなく米国につぶされる。そこで、米国には絶対逆らわない。米国の手助けをすることによって、主にアジアにおいて大日本帝国ゴッコをするのを許していただいて、威張りたいという心情を満足させてもらうためのもの。だから対米従属と全く矛盾しない。

 財界が出した「安全保障に関する提言」に着目。「要するに、9条はグローバルビジネスにとって邪魔ものと書かれている。9条があると海外に軍隊を派遣することが難しく、用心棒が欲しい時に来てもらえない。そこで財界は『集団的自衛権を認めてほしい』とはっきり言わずに『自衛、国益の範囲を考えてみよう』と包みながら訴えている。経済的に支配し、軍事力で担保し、逆らう者があれば撃ち殺す。つまり帝国主義だ。 2013年1月にアルジェリアの天然ガスプラントが武装グループに襲撃され、日本人10人を含む40人が犠牲となった人質事件が象徴だ。自公与党で構成するプロジェクトチームの座長・中谷元衆院議員は、『国策の産業兵士として出て行くのだから、軍事力で守るのは米仏では常識であり、日本も先進国型にならなければいけない』と語っていた。反改憲は、この帝国主義に反対する取り組みにすることだ。」

山城博治さん講演・沖縄にとって核は目前の問題

山城博治さん

 そして、沖縄から山城博治さんが参加。開口一番、「恐ろしい戦争の時代に突入しないよう、努力していきましょう」と力強く訴えた。翌日が衆院選なので、オール沖縄で必ず全勝する決意も表明。

 国際反戦デーは、労働組合の総評がベトナム反戦統一ストを実施した1966年10月21日が出発点だ。当時、山城さんは中学生で、米軍B52爆撃機の撤去運動に大人も子どもも参加していたと振り返る。15歳の時の墜落事故に「沖縄は核で吹っ飛んでいたかもしれない。核の恐怖にとらわれ、落ち込み、それを契機に反戦運動に入っていく高校時代を思い出す」と語る。9月のNHKスペシャル「スクープドキュメント 沖縄と核」を紹介。「日米の密約で沖縄に核弾頭1300発が配備され、1959年の誤発射がもし海でなければ沖縄全土が壊滅的な被害を受けたかもしれなかったと知って、恐怖を全身に感じた。

 毒ガスの撤去は1971年にあったそうだが、核弾頭1300発が撤去されたかどうかは今も不明。沖縄にとって核は目の前の問題だ」と話した。

急速に進められる南西諸島の軍事配備

 山城さんの不当逮捕の裁判も進行している。意見陳述の場で現地の思いを2時間ほど話した。「1000名の機動隊を沖縄に送り、県民を力ずくで排除し、あばらを折り、失神させ、心臓発作で救急搬送させている者たちから犯罪者呼ばわりされるいわれはない。裁判所が正当に判断すべき」と感極まって話した。

 だが裁判所の接見制限を解かず、関西大学の高作正博教授の意見陳述も書面にとどめられた。琉球大学の森川恭剛教授も同様に意見書を出したために傍聴ができなくなり、国連人権理事会の特別報告者、デビッド・ケイ氏の意見書は裁判所が受理しなかった。その後、11月2日に接見禁止はようやく解かれ、山城さんらは4日の辺野古ゲート前抗議集会に1年以上ぶりに参加した。

 集会で山城さんは「このままでは、またぞろ戦争国家に突入していく」と訴えた。与那国、石垣、宮古島で造られているミサイル基地が中国の艦船に向けられ、嘉手納基地から爆撃機が朝鮮半島に行くかもしれない。沖縄は反撃されて消滅しかねないとも述べた。特に南西諸島の軍事配備は、辺野古がダミーでこちらが本命かと思わされるほどの急速さだ。

 山城さんは「恐怖の瀬戸際に立たされ、そういう時代にノーだと声を上げようとしたら、押しつぶされる。でも私たちは、裁判の結果がどうであれ、この時代を県民の思いを思いとして、裁判にやむを得ず立たされた仲間たちを理解し、結果にかかわらず闘い抜こう。この裁判を歴史的な意義あるものにするために沖縄の思いを訴える正義の闘いにしたいと決意をしている」と強く訴えた。

 集会終了後も、山城さんは大阪9区から立候補している服部良一氏の最後の街頭演説に駆けつけた。その訴えで現場は一気に熱い街頭集会と化した。選挙後も政府は辺野古の新たな護岸建設を始めた。これを止める闘いが求められている。

10月29日「反戦・反貧困・反差別共同行動 in 京都 変えよう! 日本と世界」

 10月29日、京都の円山音楽堂で「第11回 反戦・反貧困・反差別共同行動 in 京都 変えよう!日本と世界」が行われた。講演は、伊藤公雄氏(京都大学名誉教授)が総選挙を受けて、〈「戦争」と「戦後平和主義」を問う〉と題して行った。また川口真由美さん&おもちゃ楽団も沖縄を想う歌を披露した。そこに下駄を掲げて踊りながら参入したのが、沖縄から来た金城実氏(彫刻家・沖縄在住)だ。金城さんは「人間の尊厳をテーマに闘う芸術家、沖縄を叫ぶ」と題して講演した。

金城実さん講演・今第三次琉球処分が行われている

 「沖縄では第一次~第三次琉球処分と言われています。ずっと差別体制が続いていた。日本国憲法も適用されなかった。当時、沖縄で共謀罪で引っ掛けられた事例を知ってますか? 瀬長亀次郎だ。『破廉恥罪』、権力に逆らうのは破廉恥だという米国高等軍事官フレイの考えだ。権力者は有り余る時間を使い、いかに私たちを騙して支配するかしか頭にない。僕は辺野古で闘っていると情けなくなる時がある。『午後は工事がないよ』と警察が言う。とんでもない! さっとやられてしまい、我々も鉄柵に閉じ込められた。そんなことばかりだ。共謀罪も、オスプレイも、先に沖縄でやられてヤマトに来る。憲法の替わりに日米地位協定が幅をきかせている。地位協定も変えられずに憲法を変えるとはどういうことだ! なめられているぞ。本当に腹が立つわ。しかし、問題ははっきりしている。最近沖縄の独立や革命を夢に見ますが、日本もやがて革命が来ると信じましょう」と、会場を巻き込みながら訴えた。

 服部良一氏、柳田真氏(たんぽぽ舎代表)、西山直洋氏(全日建)、福井きよ子氏(米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会)もアピールし、京都の街にデモ隊が出発した。

(編集部・園)

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