【視点論点】宗教、人種、政治的イデオロギーを超えた大金持ちが形成する小宇宙

「パナマ文書」に続く「パラダイス文書」

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 一年半前にパナマ文書に関して翻訳紹介したが、今度はパラダイス文書(1340万件)が金持ちの税金逃れのためのオフショア手続きを商売にするアップルビー法律事務所から、南ドイツ新聞にリーク、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が調査している。

 米国右翼のヘッジファンド億万長者ロバート・マーサー、ロックスターのボノ、商務長官ウィルバー・ロス、ホップスターのマドンナ、エリザベス女王、FIドライバーのルイス・ハミルトン、アップル社、フェイスブック、ウーバー社、ナイキ、ウォルマート、マクドナルド、その他各国の政治家や君主の名が上がっている。

 しかし、これは今に始まったことではない。世界の大多数が貧困、借金、飢えに苦しんでいる一方で、ごく少数の人間が天文学的額の富を蓄積しているのは、ずっと前から続いている。

 バミューダ諸島、シンガポール(アジアシティ)、マルタなどのタックスヘイブンがなくても、安倍やトランプやカナダ首相のトルドーは「金持ち減税」というタックスヘイブンを国内に建築している。

 パラダイス文書への対策として、オフショア投資や移転を規制する声が出ているが、バミューダのタックスヘイブンも金持ち減税というタックスヘイブンも、実体経済からマネーを引き揚げ、富の格差を広げ、経済を衰退させる点では同じである。

海外と国内のメディアの反応 温度差はなぜか

 各国政府は無関心だが、一部の国々のメディアや捜査機関、税務署はそれなりに追及している。アルゼンチンのトゥクマン州の検察は、「ラ・アルムブレラ鉱山会社に関連する金銭ロンダリングを手伝った」として、トゥクマン大学の4人の職員に逮捕状を出した。ラ・アルムブレラ会社はスイスの大企業グレンコアのオフショア会社。

 チリは、「パラダイス文書に名前が上がった同国の企業を捜査する」と発表した。コロンビアのホアン・マヌエル・サントス大統領の名もバルバドス島の二つの会社に関連しているのが発覚したので、「2015年と2016年の個人資産を公開する」と宣言した。

 オランダは、パラダイス文書リークを受けてオランダで商売をする米国企業プロクター&ギャンブルが税逃れをしているという噂が広まったため、同国と外国会社との間の租税協定を再検討すると、同国税務署が言っている。シンガポールも名前が上がった企業や個人に対して調査して対処すると言った。

 カナダは、トルドー首相自身の名が上がっている。彼の親友でカナダ自由党の資金集め係りのスティーヴン・ブロンフマンもオフショア取引疑惑があるが、トルドーは「公明正大」であると宣言。しかし、野党は調査を要求している。

 日本企業に関しては、丸紅をはじめ大手商社、ソフトバンク、ユニクロなどの名があがっているが、この問題に関する追及はなぜかほとんどない。

 日本のメディアで大きく取り上げたのは、ICIJに参加する朝日新聞11月6日付の朝刊の特集リークと、NHKの特集番組ぐらいなものだ。後は沈黙している。そうそうたる広告主を気にしてのことか?

(編集部・脇浜義明)

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