米国「ネット中立擁護行動の日」無料・平等なアクセスを求めて

7月11日『Truthout』マイク・ラドウィッグ(Truthoutスタッフ) 翻訳・脇浜義明

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 オバマ政権は、ネット中立規則を制定し(2015年)、利用者の平等なアクセスを保障したが、トランプ政権下の連邦通信委員会(FCC)は、同規則を廃棄する方針を固めた。道路に高速道路と一般道路の差があるように、インターネットにも「有料優先」制度を導入するというのだ。
 これに対し7月12日、ネット利用者が反対行動を行う予定だ。この行動には、フェイスブック、グーグル、アマゾン、ツイッターなど大手ハイテク企業も参加を表明。コムキャストやAT&Tなど大手プロバイダーに、ユーザーを平等に扱う「ネット中立」を守るよう要求する。
 デジタル権利擁護団体=「未来のための闘い」の指導者エヴァン・グリアーは、「運動の中心は家庭やネットカフェなどでラップトップを使う草の根民衆である」と強調する。「私たちは彼らに抗議の精神を理解し、彼ら自身の手でネット中立が失われたらどうなるかを利用者に知らせよと要求する」と語る。
 「未来のための闘い」グループは、(1)巨大ブロードバンド会社にはネット利用者に対して責任があること、(2)金儲けのためにアクセスを早めたり遅らせることを、防ぐためにネット中立規則があることを、強調している。ブロードバンド会社も利益追求企業だから、中立規則がなくなれば、アクセススピードの優先権を高価格で販売するようになる。こうした事態を阻止するために、大手ネット会社に運動参加を呼びかけたという。
 FCCが計画している「有料優先化契約」制度は、金のあるウェブ会社を一般ユーザーや新規零細起業家より有利な立場に立たせる。しかし、多くの大手ネット会社が「行動の日」に参加し、大ブロードバンド会社に金を払うよりは、公正な中立規則に従うことを選択したので、当分は大丈夫である。
 この問題に関して、世間の関心は人気ウェブサイトの動向に集まっているが、草の根運動が重視しているのは、中立規則廃止が黒人、障がい者、その他社会的周辺部の人々に与える影響である。この人々は、公的領域における権利の実現や情報へのアクセスや経済的機会へのアクセスを、無料の開かれたインターネットに頼っている。

社会運動に対するトランプの妨害

 メディア・ジャスティス・センターのマルキア・シリル事務局長は、「全国の黒人コミュニティが、開かれたインターネットを使って活動している。警官の暴力への抗議から公正な賃金の要求など、インターネットを使っての政治的発言や経済的是正要求などは、ネット中立規則で守られてきた。トランプのFCCは我々黒人コミュニティとネットの間に壁を作り、われわれがネットを動員ツール、平等を求める道具として使えないようにしようとしているのだ」と言っている。
 過去にもネットの有料優先化など好ましくない提案が議会でされたことがあったが、集団的反対がオバマ政権を追い詰めた。反対メール500万通以上がFCCに殺到した。同じことが明日起きるであろう。
 聞くところによるとFCCは、メール送付者が本人であるか、誰かがでっち上げたものであるかを調査せよ、と指示を出したらしい。本物ばかりならトランプ政権の態度が変わるのだろうか。それは不明だ。そもそもトランプ一派はFCCの一般ユーザーを守る中立規則に反対だったのだから、態度を変えることはあるまい。しかし、そういう態度の彼らが少数派で、ネット中立を支持する人々が多数派であることが、明確になるだろう。

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