関西電力前でハンスト・抗議高浜、東京でも緊急行動

高浜原発再稼働を許さない!

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「あとからくる 者のために」

―中嶌哲演さん
 5月17日、関西電力は、反対や不安の声を無視して、高浜原発4号機を再稼働させた。6月上旬には3号機の再稼働も準備している。これを止めるために、7日の現地集会(本紙前号で詳報)後、1週間にわたり現地リレーデモが続けられた。最終日の12日、「原発設置反対小浜市民の会」の中嶌哲演・元事務局長は、大阪市の関電本店前で15日から3日間の「断食」に入ることを宣言した。10時から16時まで関電前に座り、夜は場所を移してハンストを継続した。
 断食は、「ストップ・ザ・もんじゅ」や「関電包囲行動」の協力で関電前にテントを張り、椅子を置いて始まった。支援者数名も連帯してハンストに加わった。
 中嶌さんは、再稼働予定日を関電本店前の行動にした理由を次のように語った。「福井の原発電力の大消費地である関西の住民が声を上げなければ、原発は止まらない。しかしあまりにも声が弱いので、関電前で断食をして行動を喚起することにした」と語る。
 最近初孫を授かった中嶌さんは、断食声明として「あとからくる者のために」を読み上げ、関電、国に再稼働停止を求めた。また、市民にも連帯ハンストを求めた。支援者らはスピーチや歌を交えて抗議は続けた。関電前に行けない関西の人々も「一食抜き」などの連帯を行った。
 こうしたなか、関電は16日夕方に「17日17時に再稼働」とプレスリリースした。まるで天気予報かビル建築の広報のような自然を装う流れだが、動かすのは核発電所だ。大飯原発の時に開いた現地住民説明会すら開いていない。そこで、関電前では16日夕方、市民有志が関電正門前を出入りする社員に厳しく抗議行動をした。
 17日再稼働当日は、怒りが高まった。中嶌さんは最後の挨拶で「このままでは終われない。福井に戻って県庁と交渉をするため、その間、福井県庁のロビーで断食を続行する」と宣言した。

再稼働時も抗議高浜、東京でも

 参加者はその後も残って抗議行動を続けた。17時前から「再稼働反対!高浜廃炉!関電許さない!」とコールをあげ、スピーチ。福島原発事故からの避難者は「再稼働は自分たちの存在自体を否定するものだ」と嘆き、関西住民は「安全性は全く担保されていない、関電は酷い会社だ」と怒りをあらわにした。
 関電は、この日の抗議を恐れて正門扉を閉め、公安警察を動員した。参加者が関電社員に語りかけ続けると、2階ロビーのシャッターまで降ろした。開いている東側入口で抗議すると、これも閉めた。西側入口に移ると、社員は出てこなくなり、再び東口を開けて社員を逃がした。そこで参加者は、東・西側の二手に分かれて20時まで抗議し続けた。
 関電は、再稼働が抗議を受けるとわかっている。だから住民の声を社員に聞かせることを恐れているのだろう。現地説明会すら開かないのは、再稼働の危険性と自社利益最優先の姿勢が広く知れ渡れば、再稼働などできないとわかっているからだ。これが関電の弱点だ。関電は髙浜3号機も6月上旬の再稼働を目指している。しかし関電前に多くの市民がおしかければ止められるだろう。
 西日本で原発事故が起きれば、日本列島に逃げ場はなくなる。再稼働を許せば、東日本で起きる莫大な健康被害と死者も、ますます隠されることになる。原子力規制委員会―立地自治体―町長だけを同意させれば再稼働できる現在の流れを、都市住民の具体的行動で崩さなければならない。2012年から続く「関電本店包囲行動」は、毎週金曜日11時~19時まで行われている。久しぶりの方もぜひ来てほしい、と主催者は呼びかけている。
 東京でも関電東京支社前で「原発いらない福島の女たち」などが、中嶌さんの呼びかけに応えて16・17日とハンストを行った。高浜現地でも、17日12時に髙浜原発の奥の展望所に約100人が集合し、抗議デモと申し入れを行った。過剰警備と連日の行動の疲れが残る中でも、参加者は声を上げ続けた。  (編集部・園)

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