米国トランプ政権 米環境保護庁

鉛汚染の規制緩和を検討

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マイク・ラドウィグ (記者) Truthout(4/21)翻訳・脇浜義明
 米環境保護局(EPA)は、4月19日、鉛など有害化学物質規制を見直すための説明会開催を告知した。この告知は、長年鉛汚染で苦しんできたインディアナ州・シカゴ市のイースト地区を訪問したスコット・プルーイット長官が発表した。同地区住民が「以前に操業していた鉛精錬所が残した鉛汚染を浄化する緊急措置を取ってほしい」という陳情をEPAにしていたので、新長官は巡回訪問の第一にこの地区を選んだのだった。しかし、住民といっしょに活動を続けているノースウェスターン大学臨床環境法学部の弁護士デビー・チズワーは、「まったく、ひどいタイミングです」とコメントしている。
 なぜなら、新長官プルーイットは、オクラホマ州司法長官時代に環境保護基準に反対して何度も連邦政府に対して異議申し立てを行ったことを評価されて、トランプからEPA長官に任命された人物であり、彼が発表したEPA告知は、トランプ大統領の各連邦機関に見直すか廃棄すべき規制をリストアップせよという命令に従って、鉛汚染に関する規制基準の見直しを検討した結果であった。
 住民は新長官訪問を、鉛汚染生活の現状を知ってもらえるチャンスと思った。ウェスト・カルメット団地は、鉛精錬所や他の重工業工場が操業していた跡地に建てられた団地で、土壌鉛汚染は危険レベルを超え、避難命令が出されたほどだ。
 昨年12月には、EPAの土壌調査で、水道水の鉛汚染も発見された。同じ問題がミシガン州フリント市でもあり、大規模な大衆運動に押されて当局は、水道管を全て入れ替える約束をした。フリント市もイースト・シカゴ市も黒人住民が多く、低所得層地域だ。地区の汚染苦境は、全国的な環境運動の注目を惹いている。プルーイットは公聴会で、「フリント市と同じような状況に直面したら、すぐに緊急措置を取る」と言った。
 しかしEPAは、いまだに住民の陳情を受理すらせず、緊急処置も行っていない。声明でEPAは、「市と協力して汚染土壌の浄化と水道管網の全面取り換えを検討する」と発表。「それに向け水道インフラ更新のため1650万ドルを計上する」と表明しながら、「環境保護規制を見直すか廃止することも検討する」とも言っているのである。
 EPAは、鉛汚染地区の54世帯に飲料水ボトルとフィルターを提供した。しかし、飲料水汚染は市全体に及んでいる。チズワー女史は、「そもそも水道インフラ設営にあたって手抜き工事があったのだから、EPAは市と業者をしっかり監督すべきである」と力説したうえで、「早急に声明の実行に取りかかり、全市民に安全な飲料水を保証すべきである。ひょいとやって来て、問題を見つけ、改善しろと関係者に忠告するだけでは、住民の健康と生命を守ることにはならない」と語っている

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