アッキード事件 安倍首相・おおさか維新の会は疑獄の当事者 とかげの尻尾切りによる幕引きは許さない

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政権疑獄に発展した「瑞穂の國記念小學院(森友学園)」土地不正取引

疑惑追及火付け役・豊中市議 木村 真さんインタビュー

 「(籠池氏は)私の考え方に非常に共鳴している方でですね」「妻から森友学園の先生(籠池氏)の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」―いずれも安倍首相の国会答弁(2月17日)である。ところが、国有地売買の不正疑惑への批判が強まると、「個人的には一回もお会いした記憶はない」、「学校がやってることの詳細はまったく承知していない」、「教育者の姿勢としていかがなものか」と発言を豹変させたのが、この国の首相だ。
 こうした露骨なトカゲのしっぽ切りに対し、籠池氏の長男・佳茂氏が、安倍首相との面会を暴露した(週刊ポスト)。そもそも、(1)2015年9月3日、安倍首相が首相官邸で迫田財務官と会談、(2)翌4日、大阪・近畿財務局で関係者(小学校建設工事の設計会社所長、近畿財務局の池田統括管理官、大阪航空局検査官)の会合が開かれ、(3)同4日、安倍首相は安保法で緊迫する国会審議をサボって大阪に行ってテレビ番組に出演、(4)翌5日に昭恵夫人が森友学園経営の塚本幼稚園を訪れて講演し、新設される小学校の名誉校長への就任を承諾していたという一連の流れを見れば、首相の関与は、限りなく黒に近い。この3日間は安倍首相の関与「口利き」が決定的になった疑惑の日々だ。
 同小学校は「安倍晋三記念小学院」設立の名目で寄付金が集められていたことは周知の事実だが、本人の了解がなかったのなら、首相の名を騙った金集めであり詐欺罪に該当する。安倍首相は、断固刑事告発すべきだろう。
 3月5日、政権を揺るがすスキャンダルの火付け役となった木村真豊中市議に、(1)問題発覚の経緯、(2)問題の核心などについてインタビューした。木村市議らは、今後、安倍首相らの政治ルート解明のため、近畿財務局を刑事告発するという。(文責・編集部)

豊中市には「有料買取」迫った政府森友学園には、「貸与」の優遇

──問題発見から調査、市民運動の組織化へと進んだ経緯を説明してください

木村:問題となっている国有地は、大阪伊丹空港の着陸コースにあたっているので騒音がひどく、90年頃までは、爆音訴訟が頻発していました。その騒音対策として、住民の方々に移転を求めてできた跡地です。当初は虫食い状態だった土地を、豊中市と政府が事実上一体となって区画整備事業として整備し、まとまった土地にしたものです。
 阪神大震災(1995年)の直後には仮設住宅が建てられており、この時点でまとまった更地になっていたと思います。その後豊中市は、国からこの土地を無償貸与してもらい公園を整備する計画を立てていました。おそらく現場事務方レベルでは国と市の合意はできつつあったと思いますが、政府は、財政悪化の影響か、「無償貸与ではなく有料買受。買取が無理なら他へ売却」との最後通告を出しました。
 このため豊中市は、2010年、計画を半分に縮小し、道を挟んだ東側だけを約14億円(15万円/㎡)で買い取り、公園として整備しました。残った西側=森友学園の土地は、平米単価=1万5千円で売却されているので、ぴったり10分の1の売却価格となります。
 この土地がどういう使われ方をするのか?市民も注視していたのですが、昨年初頃に地元市民から「工事が始まっている」との情報が寄せられ、さっそく見に行きました。すると森友学園が、塚本幼稚園に連なる小学校を建設しようとしていることがわかったので、昨年5月頃から調査を開始しました。
 まず、土地の登記簿謄本を見てみると、所有者は国土交通省のままだったので、近畿財務局に問い合わせたところ「定期借地権による賃貸」であることがわかりました。豊中市に対して強硬に買取を迫っていた政府が、なぜ森友学園に対しては貸与なのか?という疑問が湧きます。この時点で、安倍昭恵氏が名誉校長に就任し、理事長は日本会議幹部であることもわかっていたので、政治ルートを利用して胡散臭いことをやっているのではないか、との疑惑をもちました。
 昨年5月27日、貸付合意書の情報公開請求をしたところ、黒塗り資料が出てきたので、疑惑は確信に変わり、8月、市民に呼びかけて疑惑追及の市民運動=「瑞穂の國記念小學院問題を考える会」を立ち上げました。7月頃からは共産党所属の山本市議も同会に参加し、共産党の情報ルートを使って調査を始めています。

極右運動を後押しする安倍首相

木村:9月、黒塗りの「売買契約書」を入手したのですが、一見して「おかしい」との印象を与えるものなので、これをビラにして市内配布を始めました。こうした運動と平行してマスコミへの情報提供も行っていたのですが、「取材に来るが、記事にはならない」状態が、長く続きました。
 そこで2月8日、情報公開不服申し立て(黒塗り部分を開示せよとの要求)という行政訴訟を提起することにしました。こうした具体的な行動を起こして記者会見を設定したことで、朝日新聞をはじめ他紙でも大きく取り上げられ、問題がクローズアップされました。特に朝日新聞は独自調査で契約金額などの重要証拠をつかみ、報道をリードしています。
 これらの報道を見た民進党の議員などが、安倍政権追及の材料として国会で質問し、政治問題化していく、という流れです。

──さまざまな新情報が毎日のように暴露されています。あらためてこの問題の核心は何かを整理してください。
木村:安倍晋三首相がどういう形で関わったかは、まだ突き止められていないのですが、森友学園側は、「安倍晋三記念小学校」という名称を使うことで「内諾を得た」と言っており、少なくとも「安倍晋三記念小学校」の名称で寄付金を募っていたという事実は動きません。また安倍昭恵夫人は、「内閣総理大臣安倍晋三夫人」の肩書きを使って名誉校長に就任しています。昭恵夫人は、15年9月5日、政府の付けた5人のスタッフを伴い、塚本幼稚園で講演を行っており、「私人」と言い張るのは無理があります。少なくとも間接的な安倍首相の関わりは明白です。
 安倍内閣総理大臣は、カルト右翼学園ともいえる同小学校と間接的であれ関わっており、土地に関して政府は、破格の条件で売却したということです。後は、首相周辺がどのように関わったのかを具体的に追求していく必要があります。
 また、安倍首相と直結する「おおさか維新の会」が関わっていたことも間違いないと思っているので、松井知事がどの程度関与していたのかを解明することも重要です。少なくとも、安倍の側近は関わっていたと思っています。
 安倍首相は、この期に及んでも「利用されて迷惑だ」と、あたかも被害者のような答弁を繰り返していますし、松井大阪府知事にしても、小学校認可取り消しをにおわせ、善意の第3者のような態度を取っていますが、政権の中枢とおおさか維新の会の関与は濃厚であり、彼らはこの疑惑の当事者だと思っています。
 首相サイドは、森友学園・籠池理事長を悪者としてトカゲのしっぽ切りをして幕引きをはかる構えですが、森友学園がカルト右翼学園であることは衆知の事実であり、思想的にも共鳴する安倍首相や取り巻きが、こうしたウルトラナショナリズムに共鳴し、運動を後押ししていること自体が問題にされるべきです。
──籠池理事長の長男が「安倍氏に直接会った」と言い始めていますが…
木村:追い詰められている森友学園側の暴露は信憑性が高いし、稲田朋美防衛相との記念撮影の写真も出てきています。他にも、「スパイ防止法の制定を求める会」のHPには、籠池理事長、増木重夫(元在特会関西支部長)、松原仁衆議(民進党)らの集合写真が掲載されています。

安倍首相と松井知事の関与は濃厚


──状況証拠はかなり出てきていますが、今後の運動の方向性は?

木村:森友学園・籠池をトカゲのしっぽ切りするのは許してはいけませんが、カルト教育とも言える瑞穂の國記念小學院を開校させるわけにはいきません。ただ、建物はほぼ完成に近づいているのに開校できなければ、破産も考えられます。国は、土地代金として受け取っている2700万円を返せば買い戻しはできますが、新校舎をどうするか?という問題は残ります。
 最終的には、例えば大阪府がモデル校として小中一貫校、中高一貫校を作って校舎を使うことも考えられます。進学に特化した新自由主義的な方向に進んで行くことも可能性としてあります。
 当面は、森友学園建設に関わる安倍周辺と大阪維新との政治ルートの解明が焦点化することは間違いありません。具体的には、「不当な安値で売買契約を結び、国家に不利益を与えた」という罪で、近畿財務局長を刑事告発する予定です。こうした動きと同時に、あの土地と建物がどういう使われ方をすることになるのかも注視する必要もあると思っています。

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