公共放送で沖縄へのヘイトスピーチ 局前で連続抗議行動

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東京MXテレビ  デマと偏見で反基地運動を中傷

雑誌編集 川名 真理
 このたび東京のテレビ放送局「TOKYO MX」(東京メトロポリタンテレビジョン)で1月2日に放送されたニュースバラエティ番組「ニュース女子」の内容に驚き、呆れ、憤り、何もしないでいることに耐えきれず、放送責任を問うためにTOKYO MXに対する抗議行動を呼びかけました。
 「沖縄基地反対派はいま」と題したコーナーで、沖縄の平和運動に関する嘘の情報が、これでもかというほど連続的に堂々と流されました。
 辺野古や高江に通っている身からすれば、ありえない嘘ばかりで、笑いたくなるところです。しかし、知らない人がそれを見ると、沖縄の平和運動に関わる人たちへの偏見がすりこまれ、無意識のうちに嘲笑する側に立たされてしまうようなつくりになっていました。
 スタジオで、きれいな女子アナやグラビアアイドルが、おじさんたちの「解説(嘘の情報)」を疑問や驚きをはさみながら聞くうちに情報が反復されて、視聴者には真実のように感じられてしまう、悪質なデマ番組だと感じました。
 嘘の内容は「チャンネル桜・沖縄支局」でおなじみのものでしたが、ネトウヨのデマが、遠く離れた東京の公共放送で垂れ流されたことに驚きました。
 制作会社は「DHCシアター」と「ボーイズ」で、これらに制作責任も問うべきですが、「公共放送で」という部分に一番の問題性を感じたため、今回は抗議先をTOKYO MXに絞りました。TOKYO MXは東京都の資本も入っている、つまり都民の税金を使った放送でもあるため、都民の自分は、よけいに見過ごせませんでした。
 1回目の抗議行動を1月12日に行い、19日、26日と3週連続で予定しています。
 番組の問題点は、大きく二点あると考えます。
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(1)嘘の情報を公共放送で流した
【嘘の例】( )内は正しい情報。
・「基地建設反対派」は日当をもらって座り込みをしている「プロ市民」、過激派。テロリスト(→ごく一部の固定メンバーのみ実費が出ているが、大多数は個人の意思と負担で参加している)。
・トンネルの向こうで反対派が暴力をふるうので危険だと、地元の人に言われた。だから高江の取材ができない。取材を断念(→そのトンネルは高江まで約1時間も離れている「二見杉田トンネル」)。
・「反対派」は警察官にも暴力をふるっている(→暴力をふるっているのは機動隊のほう。市民の座り込み方針は非暴力不服従)。
・「反対派」に道路をふさがれて住民は迷惑している。警察官が怪我をして救急車を呼んだら、救急車も通れなかった(→道路をふさいだのは、ごく限られた日時だけ。実際は機動隊が長期間、交通規制を行った。「反対派のせいで救急車も通れなかった」という事実はない)。
・沖縄県民のほとんどは基地建設に賛成している(→沖縄県民の約8割が辺野古新基地建設に反対している)。

自分とMX局関係者の無関心は紙一重

(2)番組自体が、沖縄の平和運動への偏見をあおるヘイトスピーチそのもの 
 なぜ市民が辺野古の新基地建設や高江のヘリパッド建設に反対しているのか、背景説明が一切ない。本土側が、国土の0・6%の面積しかない沖縄に約74%(現在は約70%)の米軍専用施設を押しつけていること、県民が「これ以上の基地建設はやめてほしい」と選挙で繰り返し民意を示しているのに工事が強行されていること、工事強行の手段として全国から機動隊が数百人も送られたこと、戦後71年間、沖縄では基地被害が絶えず、昨年は20歳の女性が元米兵に殺されて死体を遺棄されたこと、米軍のオスプレイが集落のすぐそばに墜落したが、日本政府は調査もできないまま再飛行をすぐ許したこと…。
 このような理不尽、民主主義も安心して暮らす権利も保障されない現状を次世代に引き継ぎたくない。その一心で、それぞれの人間の尊厳をかけて、身を削るように現場に赴いている人たちをあざけり笑う行為は、沖縄の平和運動への偏見をあおり、そこに関わる人たちを差別してもいいという風潮を生み出す。番組はヘイトスピーチそのもので、人道上、決してゆるされない。
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 抗議行動の冒頭、この2つの問題点に続いて、次のように訴えました。
 自分は沖縄に基地を押しつけ、基地被害にも遭わず、日本は平和だと思って何十年も生きてきた。自分も沖縄に対する加害者であり、TOKYO MXをひとごとのように糾弾できない。自分とTOKYO MX関係者の無知・無関心の度合いは紙一重。だからこそ、放送に関わる人の良心やプライドにかけて変わってほしい、同じ側の人間として共に変わっていこう、と訴えました。
 約1日半しか周知の時間がとれませんでしたが、当日は約20人が集まってくれました。一人一人が思いをこめて語りかけ、とても内容のある抗議ができたと思います。「内容の訂正と謝罪を放送で行ってほしい」という声も上がりました。2回目の抗議行動で申し入れをする予定です。
 1人ではどうにもならないことが、集まってくれた方々の力で実現でき、感無量です。終わったあと、腰が抜けそうになりました。あと2回、がんばります!

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