「瑞穂の國記念小學院」建設問題(大阪府豊中市)

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戦前回帰の教育方針校長・総裁に日本会議幹部

系列校では教育勅語を暗唱

 大阪府豊中市内で、「瑞穂の國記念小學院」という私立小学校の建設工事が進められ、2017年4月に開校を予定している。「国家のため」を重視する教育を掲げる同校。背景はどのようなものか?
 「瑞穂の國記念小學院」系列校の「塚本幼稚園」(大阪市淀川区)では、毎朝君が代を歌わせ、教育勅語を暗唱させている。「朕惟フニ 我カ皇祖皇宗 國ヲ肇ルコト宏遠ニ 徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ…」から始まる教育勅語は、いうまでもなく、戦前、学校教育で、子どもに天皇・国家を神聖化させる装置として機能し、大日本帝国憲法(明治憲法)と一対のものとして、戦後教育において廃止されたものだ。
 ほかにも、「大君(天皇)の足下で死のう」(海ゆかば)といった軍歌を歌わせるなどの教育を行っている。遠足先には自衛隊基地が選ばれ、日の丸を振って海外派遣される自衛隊員を見送る、などの「行事」も行われている。
 名誉校長には安倍首相の妻・昭恵氏が、校長・総裁には日本最大の右翼団体「日本会議」大阪代表・運営委員の籠池泰典氏が就任。同会議は教育について、「権利偏重の教育、わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育、ジェンダーフリー教育の横行は、次代をになう子どもたちのみずみずしい感性をマヒさせ、国への誇りや責任感を奪って」いると公言している。
 また、右派草の根勢力として改憲を目指しているが、内容は、(1)天皇の国家元首化、(2)自衛隊の国軍化および「政治への優位原則」導入、(3)基本的人権の大幅な後退、(4)非常事態宣言による権利制限、などを謳っている。ほかにもHP上では、平沼赳夫氏(衆院議員/自民党)が激励のコメントを寄せている。
 私立学校とはいえ、政権に近しい人物が名を連ね、日本会議幹部が校長を務める同団体が、学校教育法に基づく小学校を開校する予定なのだから驚きだ。

 

国有地を金額非公開で売却

 さらに、瑞穂の國記念小學院が使用するのは、もともと空港移転跡地の国有地だった場所だ。同校建設地の道を挟んだ向かい側には、豊中市の公園がある。4年前に国から市へ売却された土地だが、価格は㎡単価15万円だった。建設用地は8770㎡、単純計算で13億円以上となる。これが金額非公開で売却されている。近畿財務局によれば、「公表すると契約相手の正当な利益を害するおそれがある」と説明するが、公共財であることから、売却には情報公開が原則となる。「適正な金額で売却した」(近畿財務局)と話しているが、非公開では適正金額かどうか、知ることもできない。

建設反対の住民運動

 建設反対の住民運動に取り組む木村真さん(豊中市議)は、以下のように述べた。
 -塚本幼稚園では、教員による児童虐待やヘイト発言が頻発しています。また、中途退園した保護者に対して未通園分の前払い学費が返金されないなど、学校運営そのものにも大きな問題を抱えています。 私たち住民側は、(1)街頭情宣を通した地域の人たちへの問題周知、(2)私学審議会への公開質問状送付、(3)塚本幼稚園被害者の会の母親たちと連携した学習会の3月中開催(詳細準備中)、(4)行政訴訟や審査請求などの法的手段をとること、(5)国有地売買にあたっての不動産鑑定士鑑定結果の公開請求、に取り組んでいきます。
 不透明な国有地売買、虐待・差別の容認、戦前回帰の教育方針を掲げる運営を行う団体に小学校をつくらせていいのか? 徹底的に追求していく所存です。-
 編集部としても、今後の推移に注視したい。(編・ラボルテ)

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