宮古島現地より

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軍事要塞として戦争準備が進む宮古島

宮古平和運動連絡協議会 共同代表 清水早子

 宮古島では、陸上自衛隊ミサイル部隊配備の候補地として名指しされた2か所を含む3か所の地元自治会が、配備反対決議を上げた。
 2015年6月14日に、宮古島の命の水源地が在る福山自治会が大福牧場への配備反対決議を上げ、2016年3月27日には、島の中央部、空自のレーダー基地の近くの野原自治会が、千代田カントリーゴルフ場への配備反対決議を上げた。さらに、8月2日、千代田自治会も反対を決議した。
 6月12日には、市内市民を対象に「住民説明会」を開催したが、私たちはそれに先だって6月3日に「住民説明会」の中止を求める要請を防衛省宛てに出した。説明会を「市民からの洗礼を受けた」既成事実とし、配備計画を次のステップへ進めさせてはならないと、私たちは当日会場外での抗議行動を行った。会場内では参加した市民から厳しい質疑と追及がなされた。
 それを合図のように、それまでは「計画が明らかになり、法令に照らし合わせて、そののち、配備の是非を判断する」と、一応慎重な構えを見せていた下地敏彦宮古島市長は、6月20日、6月議会の中で、「福山への配備は認めないが、自衛隊そのものは受け入れる」と正式に表明した。配備計画の全容も明らかでない中、何でもありの受け入れ表明をし、本音を露呈した。
 市民の反対の声が広範になりつつあることを察知した誘致派市長と防衛省は、さすがに水源地の上の福山候補地は断念せざるを得なかった。が、千代田は進めていく、さらに大福牧場の代替地は市と相談しながら進めると言う。一方、利権を得る地権者や、市長・誘致派議員を初め僅かなおこぼれに与かろうとする者たちは、9月6日に宮古島市議会防衛議員連盟なるものを発足させ、来年1月の市長選を見据えて、うごめき始めている。
 防衛省・沖縄防衛局は、隊員の先遣隊をすでに送り込んでいるとも言われているし、配備候補地へ入り込んで活動している。情報保全隊も情報の収集活動にいそしんでいるようだ。
 その背景にうかがえるのは防衛省の「焦り」ではないか。アメリカの大統領選挙までに日米軍事同盟の強化を図っておきたいのだろうか、政府が高江に大規模に機動隊を導入、暴力的な弾圧のもとにヘリパッド建設を強行しているのと軌を一にして、宮古島への陸自新基地建設の動きがハイペースになりつつある。しかし、来年1月の市長選挙には真実を隠してでも誘致派は勝利したいという思惑があるため、「市民の意をくむ」ポーズもとらなければならないジレンマがある。市長選までは全体の動向は鈍化するかもしれない。
 9月20日の千代田自治会の多数が出席した防衛省の説明会では、「ミサイルの発射台は千代田に置くが、弾薬はここに置かない」と子どもだましなことを言い、住民から「弾のない発射台に何の意味があるのか!“国土防衛”じゃないのか!ふざけんな」と追及されていた。住民を舐めた態度が随所に表れていた。
 反対する私たちには、生まれている配備候補地の住民の危機感をもっと、5万4千人全島民のものにしていく作業が問われている。
 街頭への立て看板、各集落へ入り、個別に理解を求める署名活動、同様に各事業所への働きかけ、情報の発信、講演会、映画上映会などの基地問題の学習の機会づくりなど継続している。島内外の反対署名は、change.orgのネット署名を含めて、2万筆を超えている。が、まだ島の陸海空宇宙空間までの軍事要塞化を止める攻防は序章にすぎない。
 9月23日の地元紙一面トップには、「防災公園、事実上棚上げ」とある。千代田カントリーが防災公園として整備される計画であったのに、自衛隊配備計画のために棚上げ状態で遅延または白紙になるなら、本末転倒もいいとこだ。防衛省が本気で島民の「防災」を考えているのではないことが明白である。
 沖縄県、翁長知事も、自衛隊配備への見解を明らかにし、「新たな基地建設」に反対する態度を示してほしいものである。

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