【地震と原発】九州大地震で中央構造線に火がついた!地震が収まるまで原発は止めておこう

四国・松山市で伊方原発再稼働阻止集会・デモ/全国相談会

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 松山市で伊方原発再稼働阻止の集会・デモ(4月23日)と1泊2日の再稼働阻止・全国相談会(23〜24日)が行われた。「伊方原発再稼働を許さない集会」は、市中心部にある城山公園で開催され、2800人が参加。2コースに分かれたデモ隊は、繁華街で巨大地震と原発事故の脅威を訴え、再稼働を画策する四国電力原子力本部には、怒りのコールを集中させた。
 デモ後、松山市民会館に集まり、再稼働阻止全国相談会が開かれた。2日間で延べ8時間余の長時間の報告・討論、方針作りに、のべ100名以上が参加。「九州の地震で中央構造線に火がついた。地震が収束するまで原発を止めよ!」−を最低限の目標にして、原発を止める全国連続行動を5月、6月、7月に行う、毎月11日を基準日に、前後1週間の幅の中で「大地震だ、原発が危ない、川内止めよ、伊方を動かすな」と地元スローガンで全国行動を行う、とのたんぽぽ舎・柳田真さんからの提案について討論し、三波の全国行動の方針が決まった。柳田さんは、「4年間で10数回開催した全国相談会としては、一番集中してまとまった相談会だった」と評価している。
 相談会では、全国の原発立地現地からの多彩な活動が報告された。各地の多彩な戦術も互いに学び生かしていく実のある会議となった。

(編集部・山田)

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九州中央部大地震 耐震基準を大きく上回った揺れ

 九州中央部で起きている地震群は、震源に最も近い益城町で、上下動が重力加速度(980ガル)を大きく超え、1580ガルを記録した。阪神淡路大震災の2倍近い強fさだという。一方、川内原発の「震源を特定せず策定する地震動」では、震源距離10km圏内でM6.8を想定しているが、最大加速度は620ガルでしかない。九州中央部大地震は、原発の耐震基準を越えた地震に見舞われうることを実証した。
 熊本地域に始まった九州中央部大地震は、震度1以上の回数は1300回を超え(5月8日現在)、災害の深刻さに大きな不安を覚えざるを得ない。同地震は、日本が地震活動期に入っており、いつどこで大きな地震が起きてもおかしくないことを示しているからだ。 九州大地震の震源は、日本最大の活断層である中央構造線上にある。同活断層は、紀伊半島から四国北部を通り九州に上陸するが、上陸後は別府・万年山断層帯−布田川・日奈久断層帯と続き、八代海−長島から阿久根・甑島西方に通り抜けている。
 中央構造線による地震は、約2000年周期でM7前後の地震が起きると考えられており、前回の地震からすでに2000年が経っていることを考えれば、何時起きてもおかしくない状況である。そしてついにその一部が動きはじめ、拡大の様相を示しているのである。  日本で唯一稼働している川内原発は、この中央構造線に連なる甑断層、甑海峡中央断層、そして甑海峡中央断層にぶつかる市来断層に囲まれている。原発の近傍を流れる川内川自体が巨大な活断層であることも指摘されてきた。
 ところが九州電力が策定した基準地震動620ガルは、これらの断層が同時に動くことを想定しておらず、稼働を続ければ、再び原発震災を繰り返す可能性がある。
 今回の地震被害では、避難計画が全く役に立たないことも明らかになった。九州電力はこの事実を真摯に受け止め、企業利益ではなく、住民の安全を最優先して川内原発1、2号機の運転を直ちに停止するべきである。その上で、今回の大地震による知見を踏まえ、基準地震動の新たな見直しを行うべきだろう。

「よくわからない」のなら予防策として「停止」

 「九州中央部大地震の発生で、現代の地震学の知見は、まだまだ新しいことの連続であることがわかった」と語るのは、山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)だ。同氏は、「この地震は、もう一つの社会通念を打ち破った」とも語る。「違う断層上での動きが、連続的に1日程度の時間をおいて起こりうることが、目の前で起きたから」だ。
 まず、日奈久断層帯の地震が起き、余震域が南下していたさなかに、布田川断層帯の地震が発生。その地震が前の地震を凌駕し、これが本震と呼ばれ、その後に阿蘇山の北側に誘発地震を起こし、その後に最初の地震から100kmも離れた大分県の別府ー万年山断層帯にも「飛んで」地震が誘発されたと考えられている。
 別府ー万年山断層帯も中央構造線に含まれる断層なので、大きな視点から見れば中央構造線上に起きた連動地震であると言える。つまり、中央構造線上で震源が「飛ぶ」と、伊方原発の目の前で巨大地震が起きる可能性が飛躍的に高まっていると考えられる。
 また、日奈久断層帯の南にあるのは川内原発なので、この断層帯の活動が今後も続き、出水断層や甑断層帯や市来断層帯を動かす地震につながっていく危険性も考える必要がある。
 これまでこうした連動型地震の危険性は「社会通念上無視しうる」とされてきた。しかし、今や連動型を想定しないことが、最新の科学的知見を無視した暴論というべき時代に私たちは生きている。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「停止に科学的根拠なし」と断言し、丸川珠代原子力防災担当相も規制委の見解を引いて「停止の必要なし」と繰り返している。しかし山崎氏は、「今回のようにM7クラスの地震が連発するようなケースを想定していない原発を稼働することは、絶対に許されないことだ」と力説する。

 九州大地震の震源域は拡大しており、気象庁は「先は見通せない」と発表し、日本地震学会の会長は「断層帯の南西にも注意が必要」と表明している。
 吉田明夫(元気象庁地震予知情報課長・静岡大客員教授)氏は「この二つの地震はメカニズムが異なる。『前震−本震』ではなく独立した活動とみた方がいい」と指摘。14日夜は日奈久断層帯、16日未明は布田川断層帯によるもので、「近接する二つが連動した」としている。
 阪神大震災後に熊本県の活断層調査委員会の委員を務めた経験がある岡村真高知大学防災推進センター特任教授(地震地質学)も、九州大地震が「中央構造線断層帯」の延長で起きたと指摘。「同じような地震は大分、愛媛などでも起きる可能性がある」としている。
 同教授は「九州では顕著な断層である布田川、日奈久が連動して動くとM8クラスまで起こるとされているが、一部だけが動いたのだろう。震源が約11kmと浅いため、(規模に比べて)強烈な揺れが起き、観測される揺れの回数も多くなっている」と説明する。 気象庁は「本震」の発生を想定していなかった。今回のように広域的に地震が続けて発生したケースは、「近代観測が始まって以降は思い浮かばない」という。中央構造線では、過去約7300年の間に少なくとも5回、大地震が起きているという。最も新しいのが、別府湾の海底を震源とした1596年の「慶長豊後地震」。大分では、島が沈んだ瓜生島伝説もある。また、中央構造線近くの伊予(現愛媛県)、伏見(京都府)でも数日間のうちに地震が発生したという記録が残っている。
 今後、中央構造線が広範囲に連動し、大地震を起こす可能性はあるのか。岡村特任教授は「どこにどのくらいの力がたまっているか、今の科学では分からない。影響する、しないは言えない」と語っている。(西日本新聞より) こうした不安から、伊方原発から30km圏内にある八幡浜市議会に陳情が出された。近藤享子(八幡浜・原発から子どもを守る女の会)さんらは、「伊方原発の過酷事故時には、半島全住民は避難できない」としてうえで、「断層で形成された断層崖に建てた危険きわまりない伊方原発は即刻廃炉にすべき」と訴えている。
 どこでも地震は起きるし、南海トラフ地震では巨大津波が想定される。日奈久断層帯の南部で大規模地震があった場合、川内原発が過酷事故に見舞われる可能性が高まる。地溝帯の延長線上には伊方原発(愛媛県)がある。稼働中の川内原発(鹿児島県)とあわせ、改めて原発の地震対策が懸念される。南海トラフ巨大地震や首都直下地震が30年以内に発生する確率は、いずれも70%ほどとされる。近い将来への想像力を働かすことができるのなら、原発を動かし続けることなどできないはずだ。

コラム 機能しない避難計画

 上岡直見(環境経済研究所代表・『原発避難計画の検証』著者)氏は、川内原発が過酷事故を起こした場合、「福島での避難を上回る惨状が起きる可能性が高い」と指摘する。理由は以下のとおりだ。
 「川内原発周辺から30キロ圏外に脱出するためには、薩摩半島の山間部を通らざるをえないが、土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域が至るところにある。もともと水害を念頭に置いたものだが、強い地震でも同じような被害が出るだろう。避難経路上には多くの川があり、1カ所でも橋が落ちればまったく通れなくなる。私の試算では、道路ネットワークが完全ならば16時間前後で30キロ圏外に避難できるケースでも、5%が損傷した場合は約32時間、同10%で約98時間となった。これ以上の損傷があると極端な詰まりが発生して、計算は事実上、不能になる」と、深刻な状況を説明している。
 さらに同氏は「今回、新幹線は脱線したし、在来線も不通になった。強い地震の際に鉄道が正常に運行されているとは思われない。おのずから避難は自家用車中心になるが、電柱一本倒れただけでも 動けなくなる。その点でも、福島での避難を上回る惨状が起きる可能性が高い」

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