NO!東京オリンピック 各地で進む野宿者追い出し

大阪=花園公園 大阪市行政代執行/東京=明治公園 JSC五輪排除

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 大阪・釜ヶ崎にある花園公園。ここで今、大阪市による野宿者の強制排除(行政代執行)が行われようとしている。2月初め、大阪市は花園公園にある2軒のテントに対して、「2月5日までに退去せよ」とする除却命令を出した。除却命令は行政代執行に向けての手続きで、大阪市はこのままテント強制排除に向けて動いている。
 除却命令の対象となったテントを所有するFさんと釜ヶ崎地域合同労組は、「私たちは立ち退くつもりは全くありません」「追い立てるだけでは何の解決にもならない」と、大阪市の非道さ・人権蹂躙に対して強制排除の中止を訴えている。
 多い時は数十軒のテントが立ち並び、テント村住民による「青空自治会」もできていた花園公園。しかし現在は、敷地内に前出のテントが2軒しかない。これは野宿していた当事者の、自分の意思によるものではなく、大阪市による執拗な追い出しによるものである。
 橋下前市長は、2015年1月に「(釜ヶ崎の)労働者を排除しないよう注意して、新たなまちづくりを進めたい」と明言していた。しかしその一方で、大阪市公園事務所の職員によって、「今宮小中一貫校ができるから、その前に立ちのいてくれ」と花園公園で野宿生活する労働者に圧力をかけ続けていたのである。
 今回の大阪市の行政代執行への動きは、花園公園の野宿者排除の「最後の仕上げ」として仕掛けてきた攻撃と言える。

五輪口実に排除・不当逮捕

 東京でも、東京都から明治公園を譲渡された日本スポーツ振興センター(JSC)が、新国立競技場建設のために、1月27日付けで「明治公園を廃止する」として、同公園でテント生活する野宿生活者を暴力的に強制排除しようとした事件も起こっている(※注)。東京オリンピック・西成特区構想…大型プロジェクトを名目に、またもや野宿生活者の生活・生存が脅かされようとしているのだ。
 強制排除の動きに抗議する釜合労の呼びかけに応える形で、「強制排除に反対する釜ヶ崎の会」が結成され、同会は、2月5日・22日に、大阪市・吉村市長あてに抗議文を提出した。また、強制排除の不当性を広くアピールし、花園公園の北側にある今宮小中学校(橋下前市長の肝いりで開校された小中一貫校)前で生徒たちに向けて「花園公園から力ずくで追いださないで!」とビラまきを行うなど、強制排除反対の活動に取り組んでいる。
 3月6日現在、大阪市はまだ強制排除に踏み切っていないが、新学期が始まる4月までには強制排除に踏み切るのではないか、と予想されている。
 「釜ヶ崎の会」では、3月22日午後2時から、釜ヶ崎・三角公園で強制排除に反対する抗議デモを予定している。
(注)このオリンピックを口実にした野宿者追い出しに関して、警視庁は1月27日に現場にいた支援者・Aさんを「JSC職員にケガを負わせた」として、3月2日、不当逮捕した。Aさんは、勾留中の原宿署で拘束具をはめられて身体拘束され、保護房に放り込まれる、という拷問も受けており(5日)、国策・オリンピックに反対する者への見せしめ的な弾圧を受けている。「オリンピックによる野宿者追い出しを許さない新国立競技場3・2弾圧救援会」では、「Aさんを早く釈放しろ」「JSCはでっちあげをやめろ」「マスコミは印象操作に満ちた公安情報の垂れ流しをするな」と、支援と連帯を呼びかけている。

(編集部)

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