【ぷりずむ】 

Pocket

 5月末に川崎市で殺傷事件が起き、加害者はひきこもりだったと報道された。ひきこもりを犯罪予備軍とするような報道に対し、いくつかの当事者団体から抗議声明が出されたが、そのさなか、練馬区では父親がひきこもっていた息子を殺害する事件が起きた▼にわかにマスコミには「ひきこもり」の文字が躍り、さまざまな意見や情報が飛びかった。もちろん、ひきこもりを犯罪予備軍とみなすのは偏見だ▼しかし一方で、身近な当事者のなかからは「ひとごとではない。自分も加害行為をするかもしれない」「どう整理していいかわからなくて苦しい」という声もあった。そういう声は、抗議の声とちがってけっして大きくはならない。ややもすれば、抗議によって抑圧されかねないものでもある▼誤解を恐れずに言えば、ひきこもりと犯罪に因果関係はあり得る。ただし、それはひきこもっているがゆえに加害行為にいたるのではない。ひきこもっていることが周囲に否定され続け、自己否定の果てに加害行為にいたることもある、ということだ。いずれにしても、ひきこもりを否定視するまなざしは、当事者を追いつめるものだ。 (K)

Pocket

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。