【8年目の3.11】これから始まる被ばく被害を告発する運動 渡辺悦司さん(市民と科学者の内部被ばく研究会)インタビュー

福島原発事故は終わっていない

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(前号より続く)

編‥政府が「被害ゼロ論」に固執する理由が、深刻で莫大な健康被害の状況を隠すためであることがわかりました。福島第一原発が出し続ける放射能被ばくの危険性は、全国誰もが当事者と言えるほどの大きいものです。

渡辺‥5年前に漫画『美味しんぼ』の鼻血描写が猛バッシングを受けたように、被ばく問題は特にタブー化させられました。原水禁運動のセンターの一つ「原水協」の指導者の一部までが、政府側で推進してきた専門家たち(早野東大名誉教授ら)と『しあわせになるための「福島差別」論』を共著で出版しました。被ばく被害が「ない」と考えれば「幸せになれる」、被害が「ある」と考えるから「不幸せになる」という主張を展開し、避難者からも福島住民からも批判されました。

国は、今や福島原発事故の被ばく被害が「ある」か「ない」かを正面から問題にし、「ない」と主張しています。政府の過小評価された推計でも広島原爆の168発分の放射能を放出した最悪の事故に「被害はない」など最初からありえません。

被ばく被害は、操作・改竄が疑われる政府統計も含めて隠しきれなくなってきています。

今後、被害者の声によって、被害が「ある」、避難が必要、それは国の責任だ、といった真実がますます明らかになっていくと思います。福島原発の被ばく被害に反対する運動はこれからが本番です。それは、世界中の原発事故や核戦争による世界の破滅を止める大きな役割にもなると思います。(了)

インタビューを終えて

福島原発の連続爆発を見続けた時、誰もが「世界の終わり」を感じ、そこから「今が世界を変える時だ」へと気持ちが高ぶり、大勢がデモに繰り出した。だが8年間の情報隠蔽や帰還政策により、二つの根源的な気持ちは雲散してしまったのではないか。人々は日常に帰り、「史上最悪の原発事故」がもたらす放射能汚染の影響を、分からなくさせられている。

しかし、原発事故は終わっていない。特に健康被害者や避難者たちは、被ばく被害が隠され、黙らされ、タブー化していることに、自分の存在が丸ごと否定され続けるような怒りを感じ続けている。全ての被差別者の運動の始まりがそうであったように。問題の核心は人体への健康被害だ。以下避難者の語りと合わせて、活発な議論を期待する。(園)

 

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