京大・吉田寮自治会の抗議声明

大学当局が公安警察導入

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 昨年12月19日、京都大学当局は「吉田寮生の安全確保についての基本方針」を発表し、当事者である吉田寮自治会への打診や説明、合意形成などを一切行わず、一方的に吉田寮の「退舎期限」を18年9月末日と定めた。10月以降、寮の生活基盤の破壊行為(電話回線の遮断、物品支給の停止、寮内労働者の寮外への配置転換)が行われた。 寮自治会は、京都大学総長・教育研究評議会・学生生活委員会の三者に対し、これら破壊行為の意思決定プロセスと根拠について、公開質問状を提出した。その後、厚生課窓口で回答を催促したところ、厚生課長補佐より「回答しないことになった」と告げられた。回答拒否の理由と、それが機関決定である証拠の開示を求めたが、応じなかった。

 11月9日、京大本部棟で行われた学生生活委員会の会議終了後、委員長の川添信介学生担当理事、井垣達吏学生生活委員会第三小委委員長、高倉喜信同副委員長が、30人ほどの職員に囲まれて姿を表した。

 理事らに回答拒否の理由を尋ね、話し合いの場を設けるよう要求したところ、寮生らは職員たちに羽交い締めにされて引き剥がされたり、身体を引っ張られたり、押されたり、掴みかかられたり、至近距離で「お前は誰や。俺が知らんかったらお前は学外者や、出て行け」などと怒鳴りつけられた。10分後、「学生部長に許可を得た」と述べる警察官・公安警察が約10名ほど入構し現場にやって来た。

 川添理事らと警察が引き上げた後、寮自治会は、警察に通報したことを職員らに抗議し、 「二度と警察に通報しないよう約束をしてほしい」と要求した。学生部長は「事態の収拾をつけるために警察を呼んだ」と説明したが、二度と通報しないとは約束しなかった。職員の中には「警察を呼んで何が悪いんや」と野次を飛ばす者や、「吉田寮自治会と団交して、補修案に合意した前任の学生担当理事は、頭がおかしかった」と発言する者もいた。

対話解決が大学のあるべき姿

 学生部長が「警察を呼んでも逮捕者を出さないよう努める」と発言する一方で、20時過ぎに再び当局職員が通報し、警察官が入構した。駆け付けた警察官は呼びつけられて放置され、困惑していた。結局、学生部長は何も説明しないままパトカーに乗り込み、警察官とともに大学を去った。逮捕者は出なかった。

 大学とは、学術の拠点として、研究・教育の質を保ち向上させ続けていくために、公共性を志向し、さまざまな立場の当事者が関わり合い、対等な立場の対話によって運営していくべき場所である。意見が異なる状況でも、やみくもに国家権力を介入させるのではなく、当事者間での対話による合意形成を大切にするのが、大学のあるべき姿ではないのか。

 我々は当局の姿勢に厳しく抗議するとともに、あくまで話し合いによって「退舎期限」問題を解決し、現棟の老朽化対策を前に進めるべきだという立場を表明する。

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