労働組合を非合法化する弾圧 ―編集部 関西生コン・武委員長ら執行部26人 軒並み逮捕

官邸主導の労働運動つぶし

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 大阪府警は9月18日、全日建運輸連帯労組・関西地区生コン支部の副委員長ら16人を威力業務妨害容疑で不当逮捕した。滋賀県警は、湖東生コン協同組合の理事ら4人逮捕(7月18日)、に続き、理事長ら3人を逮捕(8月9日)。さらに同月28日には、武委員長をはじめ同支部役員ら3人を逮捕しており、被逮捕者は3カ月で26人という異常な弾圧だ。

 容疑は、昨年3~7月に滋賀県東近江市での清涼飲料水メーカーの倉庫建設工事をめぐり、湖東生コン協同組合幹部らと、同協組加盟業者から生コンを購入するよう大阪市内の準大手ゼネコンの関連会社に働きかけたというもの。

 生コン業界においては、中小生コン業者が集まって協同組合を結成し、共同受注・共同販売によって、ゼネコンとのあいだで対等かつ適正価格での取引をめざしてきた。協同によって安売競争を防ぎ、生コンの品質も確保してきた。一方、労働組合である関西生コン支部は、組合員の雇用と労働条件確保のために協同組合に協力してきた。

「本庁の指示で来たんや!」

 関生支部は昨年12月以降、瀬戸弘幸らヘイト勢力と共同する「大阪広域生コン協同組合」(以下「大阪広域協」)と全面争議状態にある。「大阪広域協」は、関生の活動に業を煮やした大手ゼネコンが主導したゼネコン資本の手先だ。旧日経連(現経団連)大槻文平会長(当時)は、「関生型の労働運動は、資本主義を揺るがしかねない。箱根の山を越えさせてはいけない」と語ったという。「大阪広域協」は、階級的労働運動解体のために資本家が組織する「第2組合」と同質と言っていいだろう。

 「大阪広域協」とレイシストによる攻撃は、裁判でも争われており、3月と6月には大阪府警がストライキを「威力業務妨害だ」として関西生コンを家宅捜索している。

 8月9日の逮捕・家宅捜索の際、滋賀県警の組織犯罪対策課の警部は、「本庁の指示でやってきたんや!」と語ったという(関生執行委員・西山直洋さん)。「大阪広域協」との争議に乗じて、大阪・滋賀・京都・奈良の各府県警が、官邸―警察庁が主導する陣形で関生労組弾圧に乗り出した、国家権力総力での「関生壊滅作戦」だ。「関生弾圧は、官邸が主導している」と西山さんは推測する。

 資本と国家におどらされるファシスト=瀬戸弘幸

 関生弾圧の特徴について戸田ひさよし門真市議は、「(1)武委員長・連帯ユニオンを『反社会的存在』=暴力団との宣伝を拡大し、(2)反安倍野党共闘、市民運動を萎縮させ、(3)ヘイト政党・ヘイト議員増産を図るものでもある」と語っている。

 瀬戸らの攻撃を受けている東京管理職ユニオン委員長・鈴木剛さんは、「ゼネコンら大企業の収奪とたたかい、沖縄基地撤去、原発再稼働阻止、戦争法・共謀罪阻止、憲法改悪反対を求め、安倍内閣と真正面からたたかう労働組合への政治弾圧にほかならない」と語る。

 特に問題なのは、労組活動の基本である「団体交渉」での要求を、「恐喝・強要未遂」とねじ曲げて、逮捕の口実にしていることだ。その意味で関生弾圧は、憲法で保障された労組活動を恫喝し、非合法化する意味すら持ちうる。

 西山直洋さん(連帯ユニオン執行委員)は、一連の逮捕について「滋賀県警は、業者に対し『関生と手を切れ』などと不当労働行為もおこなっており、職権濫用も甚だしい違法行為。中小企業団体の営業活動や労働組合活動を敵視する強制捜査は断じて容認できない」としている。

 鈴木剛委員長は、「憲法で保障された労働三権を否定し、これを行使する労働組合を『反社会的勢力』と見なすことで、団体交渉権・争議権を否定する行為だ」と危機感をあらわにしている。

 瀬戸弘幸とは、在特会元代表・桜井誠が設立した「日本第一党」の顧問で、「国家社会主義者同盟」元副代表という肩書きを語っているが、「ヒトラー生誕125周年記念パーティ」の開催を呼びかけるなど、ファシズムを公然と称揚する輩だ。

 滋賀県警は、家宅捜索を瀬戸らに事前連絡して、家宅捜索中にヘイト宣伝をさせてもいる。一連の逮捕家宅捜査は、「武委員長逮捕!のショーアップ効果を狙ったためだろう」(戸田市議)。

 「異常」としか言いようのない労組弾圧が進行中である。人民新聞社は、昨年の弾圧に抗して、18日に国家賠償訴訟を提起したが、同日に関西生コンに対する大規模弾圧が断行されたことに、同根の国家権力の意図を確信している。

 関生を孤立させてはならない。全国の労組は無論、自由と人権を尊重するすべての人は、関生との連帯、警察庁への抗議の声を!

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