先取り壊憲の大軍拡を止めよう!

敵基地攻撃兵器の導入・朝鮮敵視のミサイル避難訓練 杉原浩司 (武器輸出反対ネットワーク/NAJAT代表)

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ミサイル配備候補地山口県萩市と秋田県秋田市で抗議行動が

 安倍政権は昨年12月19日、「イージス・アショア」2基の導入を閣議決定した。当日、山口県萩市とともに配備候補地とされている秋田市では抗議行動が取り組まれ、私たちNAJATが呼びかけた官邸前抗議も,]地元の秋田魁(さきがけ)新報に写真入りで報じられた。

 当初は1基約800億円とされていた価格は、既に1000億円に跳ね上がり、さらなる上昇は必至だ。グアムやハワイ向けのミサイルの迎撃を主任務としたものであり、相手国からの核攻撃の第一級の標的となる。さらに、高性能レーダーが発する強力な電磁波による近隣住民への被害も懸念される。同様に強力なXバ
ンドレーダーが配備されている京丹後市では、飛行禁止区域の影響で、緊急救難時のドクターヘリの運航に支障が出ている。

 そもそも「ミサイル防衛」(MD)は在日米軍の圧倒的な攻撃力と一体のシステムだ。先制攻撃に対する反撃を無力化するものであり、「軍拡競争推進装置」として機能する。

 さらに日本は、弾道ミサイルのみならず、巡航ミサイルの迎撃も含む米国の「IAMD(統合防空・ミサイル防衛)」構想の実験場とされつつある。2018年度予算案には、日米共同開発の能力向上型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」に加えて、巡航ミサイル迎撃用の「SM6」の試験用ミサイル経費が計上された。日本は米国の軍産複合体の餌食となり、際限なき血税浪費の深みにはまり込んでいる。

中国を射程に入れた際限なき軍拡と南西諸島の軍事化

 加えて見過ごせないのは、敵基地攻撃兵器の露骨な導入である。「日本版トマホーク」と言われる新対地・対艦ミサイルと「高速滑空弾」の研究費が概算要求に入ったばかりか、米国・ノルウェー製の3種類の長射程巡航ミサイルの購入費が年末の政府予算案に突然計上された。

 かつて自民党の検討チーム座長として「敵基地反撃能力」の保有を提言した張本人である小野寺防衛相が、「日本海のイージス艦を敵ミサイルから守るため」だの「専守防衛に反しない」と詭弁を弄している。敵基地攻撃兵器は、「専守防衛」政策の破壊であり、憲法9条の規範力(歯止め)の最終的な解体に他ならない。

 軍事力とは〈能力×意志〉だと言われるが、歴代の政権は意志を縛ることが困難だからこそ能力を縛ってきたのではないか。

 既に、ヘリ空母「いずも」を改修して正真正銘の空母とする構想や、空母に搭載するF35B戦闘機の保有の検討が報じられ、敵基地攻撃に不可欠な電子攻撃機の保有までが浮上している。際限なき軍拡のメニューが後ろに控えているのだ。

 これらは南西諸島の軍事化にも直結している。空母の南西諸島防衛への活用や、F35Bを宮古、石垣、与那国島の他、南・北大東島の各空港でも使用するとの計画が浮上した。

 さらに、「安保法制」と連動した日米共同軍事作戦態勢の強化にもつながるだろう。日本の空母を日米共同運用にして、米軍のF35B戦闘機を発着させ、給油を実施することが想定されている。

 かつて敵基地攻撃兵器の研究費の計上を阻止した公明党は、防衛省の屁理屈を容認して導入にゴーサインを出した。目に余る堕落ぶりを見せる公明党への追及は不可欠だ。

 この「先取り壊憲」との闘いは、明文改憲阻止(発議させない)の前哨戦でもある。年末に新たな「防衛計画の大綱」と中期防衛力整備計画が作られ、「国家安全保障戦略」も改定される。予算を通した上で、敵基地攻撃力の整備などを後付けで明記しようとしている。3000万人署名運動でも、予算審議中の当面は敵基地攻撃兵器の導入反対を最優先で訴えてほしい。

 これに対して、説得力ある対抗ビジョンを提示することが避けられない。そのポイントは、「米国は矛、日本は盾」という役割分担自体を問うことだ。米国の「矛」は、いざとなれば、1000発ものミサイルで朝鮮や中国をピンポイント攻撃することが可能な恐るべきものだからだ。

東京も訓練に肉薄する反対行動朝鮮戦争終結を求める運動を

 北東アジアの持続可能な平和構築のためには、隣国に脅威を与える通常戦力の縮小とともに、「核の傘」をたたむことも必要だ。トランプ政権は小型核や海洋発射型核巡航ミサイルの開発などを柱とする「核戦略見直し」(NPR)を公表しようとしている。ICANが提唱するように、被爆国日本は核兵器禁止条約への参加や北東アジア非核地帯の設立に向かうべきだ。

 朝鮮半島危機の本質的な解決は「朝鮮戦争を終わらせる」ことなくしてあり得ない。7月27日で休戦協定から65年になる。日本の市民は、「米朝の休戦協定を平和協定に」という主張を柱とする強力な脱冷戦運動=「終戦」運動を展開すべきではないだろうか。 1月22日に強行された都心初の「ミサイル避難訓練」に、訓練現場に肉薄する抗議行動が展開された。安倍政権による悪質な「印象操作」への反撃をつなぎ、強化することも重要だ。

 日米政権やメディアの劣化も含め、私たちの前に立ちはだかる壁は高い。しかし、進むべき道ははっきりしている。市民と立憲野党が知恵と力を結集して、韓米などの市民とも連携し、この危機を好機へと反転させる時が来ている。

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