世界に広がる抗議行動

トランプ5月、エルサレムに大使館移転表明 戸平和夫 (オリーブの会)

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トランプはイスラエル建国70周年に合わせ、5月14日にエルサレムに米大使館を移転すると発表。世界中に抗議デモが拡がっている。発言直後から多くのデモが行われているが、比較的新しく本紙でも扱ったアヘド・タミミさん逮捕日より掲載する。

 トランプのエルサレム首都宣言の背景には、盟友ネタニヤフ首相の汚職・不正問題を追求するこの1年余りのイスラエル市民運動の高まりがある。パレスチナ・アラブ諸国との緊張を煽りユダヤ市民の目を反らせる意味が大きい。

●12月19日、イスラエル軍はナビサレで16歳のアヘド・タミミさんを逮捕し、そのあと母親、従妹、父親を逮捕した。
・インドネシア、パキスタン、クウェートでも大規模な抗議行動が行われた。

●12月20日、南アフリカはアメリカに抗議して駐イスラエル大使館を連絡事務所に縮小した。
・エルサレムのダマスカス門で障がいのあるパレスチナ人が、アブスラヤさんの殺害に抗議行動を行った。
・国連総会で、米国の恫喝にもかかわらずトランプのエルサレムについての決定を拒否する決議を採択。
・韓国で抗議行動。
・テルアビブの米国大使館の前で、イスラエル人による抗議行動が行われる。
・イスラエル国防省前で、イスラエル平和のための女性連合が、徹夜の抗議行動でタミミさんら女性たちの釈放を要求した。

●12月21日、国連総会はトランプのエルサレム承認を非難する決議を可決。

●12月22日、パレスチナ諸勢力は第三の「怒りの金曜日」を呼びかけ、西岸各地で抗議行動が行われた。ガザの抗議行動で2人が殺された。

●12月23日、パレスチナのキリスト教徒の指導者たちが集まり、エルサレム抜きの平和はあり得ないと語る。

●12月24日、ファタハはイスラエルとのピースプロセスを全面的に見直すと表明。

●12月26日、イスラエルはトルコ人の観光客を拘束し追放した。

●12月28日、イスラエル軍は、オフェル刑務所の外で、アヘド・タミミさんを支持する女性活動家の抗議行動を鎮圧した。

●12月29日、ガザの抗議行動で100人以上がイスラエル軍に銃撃された。

●2018年1月1日、アヘド・タミミさんを12の罪で起訴した。

●1月2日、イスラエルの立法者たちはエルサレムを分割できないようにする法案を可決。
・米国の国連大使は、パレスチナが和平交渉の席につかなければ国連会議支援機関への資金提供を止めるとパレスチナを恫喝。

●1月3日、アッバスの報道官は「エルサレムは売り物ではない」と米国の脅しを受け入れなかった。

●1月31日、米国は、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏(55)をテロリストに指定し、制裁を課した。昨年5月にハマスの最高指導者に指名されたハニヤ氏は、同組織内では現実主義者とされる。

●2月13日、イスラエル警察はネタニヤフ首相の汚職・不正の証拠が固まったとして検察当局に起訴するように勧告した。過去12年間も首相の座を離さなかったネタニヤフへの辞任を求め市民の街頭運動が高まっている。

●2月18日、イスラエル空軍は分離壁に爆発物が仕掛けられたことへの報復措置としてガザを空爆、少年2人が殺害されパレスチナ側が応戦し戦闘は拡大している。

●2月23日、トランプ大統領は19年に予定されていたイスラエルの米大使館のエルサレムへの移転を、イスラエル建国70周年に当たる今年5月14日に前倒しすると発表。背景にはイスラエル内のネタニヤフ首相への汚職糾弾運動の高まりを鎮静させる意図がある。

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